『認知症の私と家族【前編】 ―診断に至るまで―』

『認知症の私と家族【前編】 ―診断に至るまで―』

以前もご紹介しました、47歳で認知症と診断された藤田さんに、今回は診断に至るまでの生活・経緯について、お話を伺いました。
過去の記事はこちら『「認知症の本人として、社会へ発信をしたい」 厚生労働省、認知症本人大使“希望大使”藤田さんの想い【前編】』

一家の大黒柱的な存在だった藤田さん

1961年、鳥取県鳥取市生まれ。看護師として働いていた24歳の時に結婚し、3人の娘を授かった藤田さん。育児や義父母の介護のため、一度退職したものの、義父母を看取った後、職場に復帰。その後は仕事や育児の他、PTAでの活動や実家のサポート等も精力的に行っていたそうです。
当時のことを藤田さんは振り返ります。
「夫は基本的に家庭のことを私に任せ、娘たちも私を頼りにしていました。忙しかったことは確かですが、私自身同時に沢山のことをやることが得意だったので、当たり前のように毎日を過ごしていました。」
ある種一家の大黒柱的な存在でもあったという藤田さん。しかし、いつの日からか”おかしいな”と思うことが起こるようになります。

生活の中に徐々に現れる数々の違和感

「思い起こせばアルツハイマー病と診断をされる数年前から、外出先から帰ってきた際、カバンや財布など、物をなくしたと思うことがありました。」
ない、と思ったカバンや財布は、決まってすぐに気づけるような場所にあったそうです。
他にも、不眠に悩まされたり、クリーニングに出した靴を取りに行ったもののどれが自分の靴か分からなかったり……
「それでも、『認知症かもしれない』ということに結びつくことはありませんでした」
病気の発症がいつからかは、明確にわかるものではなく、ゆるやかに現れてくるものだと藤田さんは言います。
 (1823)

ある出来事が、受診のきっかけにつながった

「ある日の午後、娘に『私のゼリー勝手に食べた?』と聞いた時、娘は驚きのあまり言葉を失っていました。」
なぜなら、その日の朝、藤田さん自身がコーヒーゼリーを食べていたのです。しかしそのことを思い出すことができなかった。
この時”自分の記憶に問題があるとわかった”と藤田さんは回顧します。
これをキッカケに、以前から同じことを何度も聞くことを心配していた長女の勧めや藤田さん自身「やはり何かおかしい……」という想いの元、病院で診てもらうことしました。
多忙でストレスの多い生活を送っていたことが原因かと考え、まずは心療内科へ向かった藤田さん。
しかし診断の結果は、”脳の検査を受けたほうがよい”というものでした。
これを聞いた藤田さんは、後日夫と脳神経内科の受診へ向かいました。
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藤田和子さん

藤田和子さん

文=北浦勝大(under→stand Inc.)

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