地域一体で、町田市を「認知症とともに生きるまち」へ 【後編】

地域一体で、町田市を「認知症とともに生きるまち」へ 【後編】

「認知症とともに生きるまち」の実現に向け、東京都町田市は2021年に一般社団法人Dフレンズ町田と「認知症とともに生きるまちづくりに関する連携協定※1」を締結しました。
市と連携し、独自の取り組みを実施している一般社団法人Dフレンズ町田の代表・松本さん。前半では松本さんの活動についてお話を伺いました。後半では、町田市全体の活動についてご紹介します。

いきいきと活動するための5つの「取り組み」

町田市では、様々な取り組みを通して、認知症の人がいきいきと活動できる「居場所」づくりを住民、行政、企業など多くの人々によって行い、「場」を増やしていくことを目指しています。
今回はまちだDマップでもご紹介されている5つの取り組みについて伺いました。
・Dカフェ
「町田市では『認知症カフェ※1』を『Dカフェ』と呼び活動しています。
“特別な場所”から”日常の場所へ”をコンセプトに、地域の中で継続して繋がりを持つことや、普段認知症に関わりのない人が認知症を知り関心を持つきっかけになることを目指して活動しています。」
市内のコーヒーチェーン店で実施する市主催のDカフェは、Dカフェ目的のお客様のみならず、たまたまいらっしゃったお客様への周知や交流の機会になることもあるようです。
Dカフェの様子

Dカフェの様子

・D活
認知症の人が働ける場所・機会を創出する取り組みが『D活』です。
認知症の人の”地域の役に立ちたい”という言葉をきっかけにスタートした『D活』では、ワークショップを通して、認知症の人の「働きたい」「やってみたい」というニーズと地域の資源をマッチングしました。
町田市のD活の特徴は、認知症の人と関係者が一緒に活動に取り組んでいることです。
竹林整備事業や「注文をまちがえるカフェ」など、様々な仕事の機会を通して、多くのコミュニティが生まれています。
D活から生まれた竹林整備事業の様子

D活から生まれた竹林整備事業の様子

・Dワークショップ
「年に数回開催される話し合いの場です。地元の住民や有志団体、企業や行政が参加し、これまでの活動の振り返り、今後町田市をさらに認知症フレンドリーにしていくための話し合いが行われています。」
活動や事業の振り返りの他、D活での竹林整備事業のプロジェクト報告なども、こちらのワークショップで行われています。
・Dブックス
「地元の図書館や書店などで、認知症に関する本の特設コーナーを作ることで、不安を感じた人々が、”ここにいけば自分で調べることができる”という場づくりを行っています。」
また、認知症の診断を受けた人が、想い・生活の工夫・知ってほしいことを記した『認知症 本人エッセイ』コーナーを設けている書店もあるとのことです。
認知症の診断を受けたからこそ語れる言葉から、私たちは多くのことを知ることができます。
Dブックスの特設コーナー

Dブックスの特設コーナー

・まちだDサミット
認知症の人が声を発信する場であるとともに、普段住民や企業、行政が認知症の人々にどのような関わりを持っているか、その役割が共有される場でもあります。
テーマはその都度異なりますが、認知症のために何かをしたいと思う企業が、このサミットを通し自らの出来ることを発見したり、市民が認知症について理解を深めるきっかけとなっています。
これらの幅広い活動は、認知症の人やそのご家族だけでなく、企業・行政、そして有志のボランティアやケアマネジャーなどの人々が一体となって、町田市全体を巻き込んで行われています。
Dサミット、トークセッションの様子

Dサミット、トークセッションの様子

一人ひとりがやりがいを持って生活できる町へ

最後に、「認知症についてもっと知ってほしいこと」を伺いました。
「認知症になっても、一括りにしないで欲しいです。一人ひとりみんな違う生き方をしていますし、やりたいことだって好きなことだって違います。
一人ひとりが自分らしく生きるためにも、住み慣れた場所で、その人らしく、やりがいを持って生活できる町を目指していきたいと思います。」
※1:町田市HP 『一般社団法人Dフレンズ町田と「認知症とともに生きるまちづくりに関する連携協定」を締結しました』
https://www.city.machida.tokyo.jp/iryo/old/shiminnokatae/ninchishojoho/D_friends.html
生24-2328,商品開発G
松本 礼子さん

松本 礼子さん

文=北浦勝大

関連記事