厚生労働省によると、認知症の人の数は2020年時点で約600万人。2025年には約700万人にのぼり、65歳以上の高齢者のうち5人に1人が発症すると予測されています(※1)。
そのような未来を踏まえ、小学生をはじめとした”子ども”への啓発活動を行っているのが、千葉大学医学部附属病院認知症疾患医療センターです(※2)。その名も「認知症こども力(ちから)プロジェクト」。
プロジェクトの発起人であり、講師を務める平野さんへ活動の背景や内容について、お話を伺いました。
そのような未来を踏まえ、小学生をはじめとした”子ども”への啓発活動を行っているのが、千葉大学医学部附属病院認知症疾患医療センターです(※2)。その名も「認知症こども力(ちから)プロジェクト」。
プロジェクトの発起人であり、講師を務める平野さんへ活動の背景や内容について、お話を伺いました。
豊かなコミュニティには、認知症への理解が必要不可欠
認知症の人の増加が見込まれる中、“生活の場”であるご家族や周囲の認知症の理解が何より重要だという平野さん。その背景には、互いに尊重した関わりあいを保ちたい、という想いがあるようです。
「”支え合える”コミュニティを築く為には、地域社会において身近である認知症の理解が必要不可欠です。症状はどのようなものか、どう接するべきかを知らなければ、『よく分からない、怖いもの』と認識し、認知症の人と周囲の距離が離れてしまう。一人ひとりが尊厳を保ち、尊重し合いながら豊かに関わりあう為にも、まず認知症を考えられる機会づくりが大事だと考えています。」
“地域社会をより良くしたい。その為にも、認知症の理解がカギとなる”それが、平野さんたちの活動の原点です。
一般教養化する為に、子どもへの学習機会を
認知症への理解の浸透は”まだまだ”という平野さん。その要因を考えた先に着目したのが、学校教育でした。
「子どもが学校で認知症に触れたり学んだりする機会が少ないことが、一般教養化されない要因だと考えています。例えば、症状や原因について深く学ぶ授業もあまり無いかと思いますし、テストに認知症の問題が出ることも無いでしょう。それではやはり子どもにとって認知症は『よく分からない』ものとなってしまいます。」
将来の地域社会の重要な構成員である子どもにこそ、認知症を知り、自分のこととして捉える機会を創るべきではないか。2013年度、平野さんら千葉市認知症疾患医療センターは「認知症こども力プロジェクト」を立ち上げました。
子どもの理解が、認知症の人との架け橋になる
「発見への好奇心が強い子どもだからこそ、認知症の人と関わる機会や学びを通して、より理解を深められると思っています。対する高齢者の多くは『孫世代』の子どもに寛容であり、更に子どもとの交流に喜びを感じる傾向があることから、互いに親和性があると言えます。」
更に子どもの学びは、自身だけでなく親世代の理解も深めるという副次的効果も見込めるようです。
「ワークショップやイベントに参加した子どもが、親へ認知症について伝えたり、何か聞いたりすることで、親側の理解や介護力向上に繋がればと期待しています。」
2021年現在で9年目を迎えた「認知症こども力プロジェクト」。イベントやワークショップを通じて、多くの子どもへ認知症に触れる機会を創ってきました。
そこには、”ただ学ぶだけでなく、子どもが興味を持って楽しめるように”という平野さんらの工夫が詰まっているようです。
そこには、”ただ学ぶだけでなく、子どもが興味を持って楽しめるように”という平野さんらの工夫が詰まっているようです。
後編ではプロジェクトの内容や狙いについて、ご紹介します。
※1:参照 厚生労働省老健局総務課 認知症施策推進室『認知症施策の動向について』
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/200214-5.pdf
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/200214-5.pdf
※2:千葉大学医学部附属病院認知症疾患医療センター 公式ホームページ
https://www.ho.chiba-u.ac.jp/ninchi/index.html
https://www.ho.chiba-u.ac.jp/ninchi/index.html
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