大動脈解離が発症する仕組みと治療時の注意点

大動脈解離が発症する仕組みと治療時の注意点

大動脈壁の内部に血液が侵入する疾患を大動脈解離と言います。この記事では、大動脈解離が発症する仕組みと治療の注意点について解説します。

大動脈解離が発症する仕組み

大動脈壁は内側から順に内膜・中膜・外膜で構成されており、大動脈解離とは内膜に亀裂が入り、その亀裂から血液が中膜の層に侵入し、大動脈内に2本の血液の通り道ができた状態です。また、中膜に侵入した血液で動脈が膨張した状態(解離性大動脈)も大動脈解離と呼ぶことがあります。大動脈解離は、以下により大動脈壁に脆弱化・損傷が起こることが原因で発症すると考えられています。

・動脈硬化・糖尿病・高血圧・喫煙・脂質異常症・睡眠時無呼吸症候群・ストレス等の影響で大動脈壁の内膜が損傷する。
・マルファン症候群【血管壁が脆くなる先天的疾患】の影響。
・大動脈弁の先天的疾患等による影響。
・妊娠等によりホルモンバランスが変化したことによる影響。
・事故・怪我等により大動脈が損傷したことによる影響。

なお、大動脈解離の主な原因は高血圧による大動脈壁への損傷であり、動脈硬化による大動脈壁の劣化・損傷も大きく関係すると言われています。

大動脈解離治療の注意点

大動脈解離にはスタンフォードA型【上行大動脈に解離があるもの】とスタンフォードB型【下行大動脈のみに解離があるもの】があり、それぞれ治療方法が異なります。スタンフォードA型は極めて予後不良な大動脈解離とされており、基本的には緊急治療として人工血管置換術を用いた外科的治療が選択されると言われています。一方、スタンフォードB型は一般的にスタンフォードA型より自然予後が良いとされており、初期治療として降圧剤を中心とした内科的治療が選択され、予後不良と判断された場合に外科的治療が検討されます。

なお、内科的治療では、降圧剤の服用・血圧管理・生活習慣の見直し(食生活・禁煙・運動等)の指導が行われますが、改善されない場合には外科的治療が検討される可能性があります。また、人工血管置換術を行った場合は抜歯・歯槽膿漏等による感染症のリスクがあるため、歯科治療を受ける際に医療機関に伝える必要があります。その他、38度以上の高熱が続く場合は必ず受診する・上半身を捻る動きを控える・車の運転を控える等を一定期間心がけるよう指導される可能性があります。


大動脈解離の主な原因は高血圧であるため、高血圧予防・血圧管理が発症・再発の予防につながります。治療中の方は医療機関の指導を守り、高血圧の方・血圧が高めの方は医療機関に相談し、適切な予防対策に取り組むことをおすすめします。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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