必要な人へ適切な支援を。神戸発の取り組みで、やさしいまちの実現へ【後編】

必要な人へ適切な支援を。神戸発の取り組みで、やさしいまちの実現へ【後編】

『診断助成制度』と『事故救済制度』の両輪から成る、神戸発の取り組み『神戸モデル※1』。
後編では、神戸モデルや認知症の理解を広めるための活動や工夫、神戸市の目指す社会について、引き続き神戸市福祉局介護保険課 認知症対策担当係長の竹野さんへお話を伺いました。前編はこちら

日々の草の根活動から理解を深め、支援を届ける

必要な支援を届ける第一歩として、“認知症の理解を深めること・神戸モデルを知ってもらうこと”が重要だと、竹野さんは言います。神戸市では、どのような活動を行っているのでしょうか。
「地域の病院や施設にて、認知症や神戸モデルに関するポスターの設置やパンフレットの配布の他、公民館等の地域コミュニティに赴き講演会やセミナーを実施しています。
実際にお会いし交流することで、皆さんの理解を深められると共に、皆さんの抱える不安やご意見をお聞かせいただく機会にもなっています。」
特に自治会や婦人会では、普段の生活で認知症を身近に感じている高齢者が集まっているからか、講演の前後には、皆さん親身になって話を聞いたり、ディスカッションをしたりという場がよく生まれるそうです。

小さな気づきから、日々改善を重ねる

地域との交流から認知症の理解や神戸モデルを広める神戸市ですが、同時並行で課題を見つけ、取り組みへの検討・改善も日々行っています。
「認知症に関する活動が届きにくいのが、ひとり暮らしをしている高齢者です。本人の変化に気付いてくれる人が身近にいない、気軽に相談できる人がいない、このような背景から必要な支援が届いたときには症状が進行してしまっているというケースがあります。」
この問題に対し、地域で声かけ訓練を行ったり、「神戸モデル」の無料受診券を75歳以上の市民全員に配布するなど啓発にも力を入れている神戸市ですが、活動の中での気づきは配布中のパンフレットにありました。
「『神戸モデル』のパンフレットの中で描かれているデザインが、高齢者夫婦を想起させるものでした。高齢者世帯も多様なのに、これだとひとり暮らしの方は自分ゴトと感じてもらいにくいかもしれない。実際に、ある高齢者の方からも『独り身には関係の無いことだと見えてしまう』という声もいただきました。これを改善点として、ひとり暮らしの高齢者にも届くデザインや広報について考えさせられました。
デザイン一つでも、本人に与えるイメージは大きく変わる。これは我々にとっても大きな学びとなりました。」
小さな気づきから、大きな問題に向き合う。反省と改善の積み重ねが、やさしいまちの実現につながるのでしょう。
また、若者世代への理解促進のため、SNSの活用も現在検討しているとのことです。
▲神戸市役所

▲神戸市役所

予防から介護まで支える包括的な支援

全国の先駆けとなる『神戸モデル』ですが、神戸市の取り組みはそれだけではありません。その他の活動について、いくつか竹野さんにご紹介いただきました。
「まず、ご本人・ご家族・認知症の人に接する方からの相談を受ける電話窓口『こうべオレンジダイヤル』を設置しています。また、市内に76カ所ある地域包括支援センターでも相談を受け付けています。」
『こうべオレンジダイヤル』には、保健師・社会福祉士等が配置されており、悩みを聞くだけではなく、『認知症初期集中支援チーム』と一体的に運営しているため、相談者に応じてその後の支援まで行っているとのことです。
「他にも、認知症の方や軽度認知障がいの方に介護保険外サービスとして在宅生活の支援を行う『KOBE みまもりヘルパー』、認知症の人や地域の方が参加できる集いの場『こうべオレンジカフェ(認知症カフェ)』の提供等、様々な支援を行っています。」
なお、これらの相談や支援においては「いかに医療につなげるか」が焦点になることも多いと、竹野さんは言います。受診のキッカケとなっている『神戸モデル』の診断助成は、福祉と医療の懸け橋として効果的な支援につながっているようです。

認知症と共に、安心して歩める社会へ

最後に竹野さんへ、「認知症についてもっと知って欲しいこと」を伺いました。
「認知症はある日突然なるのではなく、歳をとる延長線上にあるものだと思っています。そして、誰にでもなる可能性があり、認知症になったとしてもその人自身であることに変わりはありません。
神戸市は、認知症の方の尊厳や意思が尊重され、社会からも排除されない許容性の高いまちづくりに向けて、これからも邁進していきます。」
※1:神戸市福祉局介護保険課 『認知症に人にやさしいまち 神戸モデル』ホームページ
https://kobe-ninchisho.jp/
生22-3834,商品開発G
竹野 嘉朗さん

竹野 嘉朗さん

文=北浦勝大

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