日本音楽療法学会認定音楽療法士の吉良まゆみさん。前編では、音楽療法の内容や音楽療法の効果についてお伺いしました。後編では、実際に音楽療法によって生まれた家族の変化や、日米における音楽療法の違いについてご紹介します。前編はこちら
音楽療法によって生まれた、家族の喜びの声
前編にて音楽療法は認知症の方に自己肯定感を生むというお話をいただきました。ご本人の変化は、ご家族の喜びにも繋がっているそうです。
「認知症で施設にいるお父様に、よく会いにいらっしゃる姉妹がいました。お父様は元々歌うことが好き。音楽療法でどんどん笑顔が増え、楽器も徐々に弾けるようになってきました。姉妹どちらかが必ず一緒に参加して、お父様の変化を見て、『昔の父が戻ってきました』と喜んでいらっしゃいました。こういった喜びの声をいただくことが多く、とても嬉しく思っています」
病院や知的障がい者施設など、多岐にわたる音楽療法の活用方法
高齢者の福祉施設以外では、どんな場所で音楽療法が活用されているのでしょうか。
「幼児、児童、知的障がいの方や、精神科、病院―音楽療法が相対する領域はとても広いです。交通事故などで身体的な障がいがある場合も、音楽療法は使用されています。歩行訓練の後押しとして、オートハープを弾いたりドラムを叩いたりすることもありますよ。」
音楽療法という言葉を聞くだけだと、クラシック音楽を流す、といった受動的なものをイメージする方もいるのではないでしょうか。
「音楽を聴くというのももちろん音楽療法のひとつです。ただせっかく音楽療法士として伺える機会なのですから、セッションでは楽器を使うことで能動的に動く環境を作るようにしています。音楽によって考えて、動いて、交流が生まれていくことが大切だと思います。」
「幼児、児童、知的障がいの方や、精神科、病院―音楽療法が相対する領域はとても広いです。交通事故などで身体的な障がいがある場合も、音楽療法は使用されています。歩行訓練の後押しとして、オートハープを弾いたりドラムを叩いたりすることもありますよ。」
音楽療法という言葉を聞くだけだと、クラシック音楽を流す、といった受動的なものをイメージする方もいるのではないでしょうか。
「音楽を聴くというのももちろん音楽療法のひとつです。ただせっかく音楽療法士として伺える機会なのですから、セッションでは楽器を使うことで能動的に動く環境を作るようにしています。音楽によって考えて、動いて、交流が生まれていくことが大切だと思います。」
音楽療法士の認知度は、まだまだこれから
様々な可能性を秘めている音楽療法。しかし、日本音楽療法学会認定音楽療法士の数は日本全国で約2,600名と、まだ充分とは言えません※1。一方アメリカでは1800年代初期から医療現場で音楽の必要性が認められ、音楽療法が盛んに行われています。
「アメリカでの音楽療法士の認知度は高く、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士、音楽療法士が一緒にチームを組んで治療にあたります。日本でも施設で理学療法士の方や作業療法士の方とご相談させていただくことはありますが、チームを組んで本格的に活動することはまだまだ少ないですね。音楽療法を専門に学べる学校も少ないと思います。今は日本音楽療法学会が音楽療法士を国家資格にしていくことを目指している状態です。」
家族だけで悩まず、音楽療法士を活用して
今後日本での活躍が期待される音楽療法士。吉良さんは、認知症を抱えるご本人だけではなく、認知症で悩む家族の力になっていきたいと言います。
「認知症の方に寄り添う、と言うのは簡単ですが、認知症の方やそのご家族は本当に大変だと思います。実際に毎日様々な変化が起こると、もうのんきな状態ではないですよね。だからこそ家族だけで悩まず、デイサービスや音楽療法士のような存在をどんどん使っていただけたらと思っています。これからは、認知症は特別な症状ではなくなっていく時代です。音楽療法を通して、認知症をしっかり理解して、寄り添っていきたいと思っています。」
前編はこちら
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※1:一般社団法人日本音楽療法学会の公式ホームページより。現在約2,600名の学会認定療法士が国内で活動している。(https://www.jmta.jp/)
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