"人生100年時代"と言われている現代、一人ひとりが安心して・自分らしく、より豊かに過ごすためには、誰もが関わる可能性のある認知症について正しい知識をもつとともに、明るく前向きに過ごすためのヒントを得ることが必要です。
今回は、年を重ねると脳はどうなっていくのか、「加齢と脳の関係」について注目してみます。
今回は、年を重ねると脳はどうなっていくのか、「加齢と脳の関係」について注目してみます。
加齢とともに弱くなる知能と強くなる知能
年を重ねると、認知症にならずに、記憶・判断能力が低下せずに、最期まで暮らしていけるかどうか、不安を持たれる方は少なくないと思います。心理学研究の分野でもかつて、脳の機能を司る「知能」(学習能力や適応能力など)は、成人期を迎えた後、加齢とともに衰退すると考えられていました。
しかし近年、研究が進められたことによって、高齢期における知能の変化は、「衰退する側面」と高齢まで「維持・強化される側面」の両面があるということがわかってきているのです。
前者の衰退が見られる知能は、「流動性知能」と呼ばれ、計算力や暗記力など、新しい場面への適応が要求される能力です。新しい商品(IOT機器など)が出たときに、なかなか使いこなすことが難しいと言う高齢者の方がいらっしゃいますが、生理学的脳機能によって働きが規定される影響かもしれません。一方、後者の高齢期まで維持・強化される知能は、「結晶性知能」と呼ばれ、語彙力(言葉の数など)、判断力、問題解決能力など、年を重ね、経験を積み重ねることによって培われ強化されていく知能です。これは「経験」という貴重な財産を脳に蓄えていったり、生活習慣や訓練によって維持していくことのできる能力です。
脳の機能は、加齢に伴い衰えるだけと考えている人も多いかもしれませんが、高齢者の知能は経験によって強化されていく側面もあるということを知っていただきたいと思います。
しかし近年、研究が進められたことによって、高齢期における知能の変化は、「衰退する側面」と高齢まで「維持・強化される側面」の両面があるということがわかってきているのです。
前者の衰退が見られる知能は、「流動性知能」と呼ばれ、計算力や暗記力など、新しい場面への適応が要求される能力です。新しい商品(IOT機器など)が出たときに、なかなか使いこなすことが難しいと言う高齢者の方がいらっしゃいますが、生理学的脳機能によって働きが規定される影響かもしれません。一方、後者の高齢期まで維持・強化される知能は、「結晶性知能」と呼ばれ、語彙力(言葉の数など)、判断力、問題解決能力など、年を重ね、経験を積み重ねることによって培われ強化されていく知能です。これは「経験」という貴重な財産を脳に蓄えていったり、生活習慣や訓練によって維持していくことのできる能力です。
脳の機能は、加齢に伴い衰えるだけと考えている人も多いかもしれませんが、高齢者の知能は経験によって強化されていく側面もあるということを知っていただきたいと思います。
何歳になっても脳は若返る
また、"何歳になっても脳は若返る"ということも知っていただきたいことです。神経科学の分野では、過去何十年もの間、「脳細胞の再成長はありえず、脳は新たな細胞を生成しない」と言われていました。ところが、米国の研究者(ジェセフ・アルトマン)によって1990年代後半に、成人の脳でも新たな細胞が生成できることが立証されたのです。この脳細胞生成のプロセスは「神経生成」と呼ばれています。この発見は、パーキンソン病やアルツハイマー病などの脳が衰えていく病気の治療や、自分の知力を維持向上させたいと願うすべての人に希望(可能性)をもたらしました。何歳になっても"自分の脳をつくる、再生できる"可能性があるということです 。
語学の学習などもそうですが、「年だからもう無理」と考えず、こうした研究成果も踏まえながら、何歳になっても、新たなチャレンジを心がけることも大切なことだと思います。
語学の学習などもそうですが、「年だからもう無理」と考えず、こうした研究成果も踏まえながら、何歳になっても、新たなチャレンジを心がけることも大切なことだと思います。
出典
権藤恭之編「高齢者心理学」(朝倉書店、2008年)、p95-97よりジーン・D・コーエン著、野田一夫監訳、村田裕之・竹林正子訳「いくつになっても脳は若返る」(ダイヤモンド社、2006年)、p24-26より
権藤恭之編「高齢者心理学」(朝倉書店、2008年)、p95-97よりジーン・D・コーエン著、野田一夫監訳、村田裕之・竹林正子訳「いくつになっても脳は若返る」(ダイヤモンド社、2006年)、p24-26より
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