アルコールの飲み過ぎは認知症のリスクを高める!? どのくらいの量なら大丈夫なの?

アルコールの飲み過ぎは認知症のリスクを高める!? どのくらいの量なら大丈夫なの?

アルコールの大量摂取で心配なことといえば、中性脂肪の増加や肝臓への影響ですが、実は「認知症」のリスクも上がるとされています。「お酒が好きでつい飲み過ぎてしまう」「毎日の飲酒がやめられない」という方も少なくないと思います。
お酒を健康的に楽しむためにも、ぜひ参考にしてください。

お酒を飲みすぎる人が認知症になりやすい理由は?

大量に飲酒をする人やアルコール依存症の人は、認知症の発症リスクが高いことがわかっています。

2008〜2013年にフランスで実施された研究によれば、アルコール使用障がい(依存症)は「あらゆる種類の認知症リスクを男性で3.4倍、女性で3.3倍上昇させる」「早期認知症(65歳以下で発症する認知症)の人の半数以上が、アルコールを飲み過ぎている」ことが判明しました。

国内の研究でも、「認知症である高齢者の29%は、大量飲酒が原因で認知症を発症したと考えられる」「過去5年以内に大量の飲酒習慣を続けていた高齢男性は、認知症のリスクが4.6倍になる」という結果が出ています。

あくまでも統計上ではありますが、大量の飲酒は認知症の発症リスクの一つといえるかもしれません。

また、アルコールの飲み過ぎが引き起こす高血圧、脳血管障害(脳梗塞など)、糖尿病、栄養障害等も、認知症の発症リスクを上げる原因と考えられています​ので、そういった意味でもアルコールの摂取量はコントロールした方がいいでしょう。

大量のアルコールは脳の萎縮で認知症を引き起こす?

アルコールは肝臓だけでなく、脳にも影響を与える物質です。

連日大量の飲酒を続けていると、脳細胞は徐々に縮んで「脳萎縮」の状態になります。
脳萎縮は、物事の判断や意思決定を司る前頭葉で起こるケースが多いです。前頭葉が萎縮すると、理性的な判断ができなくなっていきます。

こうしたアルコールの大量摂取による脳の萎縮が原因の認知症は「アルコール性認知症」と呼ばれます。

アルコール性認知症は、若い人でも発症し得る病気です。大量の飲酒やアルコール依存症によって、若くして前頭葉の機能に障害が起こっている人もいらっしゃいます。
過剰なアルコール摂取は年齢問わず、認知機能の低下や認知症リスクにつながる要因ということです。

認知症予防のための「アルコール摂取量」の目安は?

「認知症は治らない」といわれますが、お酒の過剰摂取やアルコール依存症が引き起こした認知症の場合、長期間の断酒によって認知機能が改善する可能性があると考えられています。
もしアルコール依存症で認知機能に異常が出ているようであれば、専門外来の医師の指導のもと断酒することになります。

そうならないようにするためにも、毎日お酒を飲む習慣がある人は、いまのうちに飲酒量をコントロールできるようにしておきましょう。

1日の飲酒量の目安は以下のとおりです。

・日本酒:1合まで
・ビール:中瓶1本まで
・ワイン:グラス1杯まで
・焼酎:半合まで
・ウイスキー:ダブル1杯まで

ただし、上記の量を毎日飲み続けていることも脳や肝臓に負担をかけますし、肥満や糖尿病のリスクを高めることになります。
必ず1週間に数日は休肝日を設けるようにしましょう。

おわりに:年齢問わず「お酒は控えめ」を心がけよう

アルコールの過剰摂取は肥満や糖尿病などの生活習慣病のリスクを高めます。認知症を予防するには、日頃からお酒の量をコントロールすることが大切です。
また、そこまで年齢が高い人ではなくても、毎日大量の飲酒を続けていると脳が萎縮し、認知機能が低下する恐れがありますので、早いうちから「お酒は控えめ」にするように心がけましょう。

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