寝たきりの方の心身を守る「介護の心得」

寝たきりの方の心身を守る「介護の心得」

寝たきりの方の心身の健康を守るためには、介護の際に様々な配慮が必要になる場面があります。この記事では「床ずれの対策」「排泄の配慮」「清潔さの保持」の観点から、介護する方が心得ておいた方が良いことについて紹介していきます。

床ずれの対策

床ずれ(褥瘡:じょくそう)とは、体の一部に体圧が集中し、その部位の血流が悪化したり滞ったりすることで、皮膚に赤み・痛み・水ぶくれ等ができる現象です。自力で体勢を変えられない寝たきりの方では、床面に接するお尻・腰・背中・かかと等、骨の突出している部位に発生します。

床ずれを防ぐには、体圧を分散させることが大切です。専用のマットレスやクッション等を利用しながら、2時間から3時間おきに体勢を変えましょう。また、皮膚を清潔に保つ・皮膚が乾燥しないように保湿する等のスキンケアも習慣化してください。

排泄の配慮

自力で排尿・排便が難しい方の排泄介助をする際は、以下を心がけましょう。

●自尊心を傷付けない
排泄はプライベートな行為であり、手伝ってもらうことに対して多くの方が抵抗感を覚えていると言われています。また、失禁をした際にネガティブな発言をされると自尊心が傷付き、生きることに必要な排泄行為自体が苦痛になる可能性もあります。排泄が上手くできた際に一緒に喜んであげる等することがおすすめです。

●水分の摂取量を減らさない
排泄の介助回数を少なくする等を目的に水分の摂取量を減らすと、脱水や便秘を引き起こしやすくなり、脳梗塞のリスクが高まる可能性があります。ご本人・介助者の方の自己判断で、安易に水分の摂取量を減らさないように気を付けてください。

●自力でできるようにサポートする
排泄の意思表示ができる方や排泄に必要な歩行機能が残っている方に、介助を効率化する等の目的でおむつを着用させることは、自尊心を傷付けることにつながり、身体機能を更に低下させる可能性があります。尿意・便意を伝えられる方には差し込み式の便器・尿器を用意する、介助すればトイレまで歩ける方には歩行介助をする等、なるべく自力でできるようにサポートしましょう。

清潔さの保持

起き上がる際に介助が必要な方は、着替え・入浴等の頻度が低くなる傾向にあり、不衛生になりやすいと言われています。入浴介助・温かいタオルを使った清拭・ベッドシーツやパジャマ等の身辺用品の洗濯や交換等を定期的に行うようにしましょう。


寝たきりの方の介護では、介護する方にも精神的・肉体的負担がかかります。負担や悩みをおひとりで抱え込まないようにするためには、周囲に助けを求めることが大切であり、介護サービスを利用することも負担や悩みの軽減に役立ちます。また、介護保険制度が役立つこともありますので、お悩みの方は地域の支援センター等にご相談することをおすすめします。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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