糖尿病の方に起こるむくみについて

糖尿病の方に起こるむくみについて

むくみは、立ち仕事・デスクワーク等、同じ姿勢を取り続けることが多い方に起こりやすいと言われていますが、何らかの疾患が原因で起こるむくみもあります。この記事では、糖尿病の方に起こるむくみについて解説します。

糖尿病の方にむくみが起こる原因

むくみとは細胞間の水分が異常に増加した状態であり、運動不足・栄養不良・塩分の過剰摂取・冷え等で、血液・リンパ液の流れが悪くなることが主な原因と言われています。これらが原因で起こるむくみは一過性であることが多く、生活習慣を見直すことで解消する可能性があります。しかし、糖尿病の方に重度のむくみが現れている場合は、糖尿病性腎症の可能性があります。

高血糖状態が続くと、血液中のブドウ糖が全身の血管壁を傷付けるようになります。糖尿病性腎症とは、高血糖状態が続くことで糸球体(血液をろ過して原尿(尿の元となる物)を作る腎臓内の組織)の細い血管が傷付き、腎機能が低下する疾患です。腎臓には、血液中の老廃物をろ過して尿として排泄する・体内の水分量や電解質(ナトリウム・カリウム等)のバランスを調節する・血圧を調節する等の働きがあります。そのため、腎機能が低下すると体内の水分量を調節できなくなり、むくみやすい状態になります。糖尿病性腎症が悪化し腎不全に至ると、透析療法(腎臓に代わり、血液中の余分な水分・老廃物を人工的に取り除く治療)や腎移植が必要になる可能性があります。

むくみの対処法

糖尿病性腎症の方は、むくみに悩んでいる方に限らず、食事療法・運動療法・インスリン療法等による適切な血糖値管理が大切になってきます。糖尿病の方は、医療機関の指示に従い適切な血糖値管理を心がけ、定期的に検査を受け腎臓の健康状態を確認することをおすすめします。なお、以下の対策は、むくみの一時的な解消に役立ちます。

・体を温める・適度に体を動かす等し、血流を促す
・1時間に1回ストレッチをする等し、同じ姿勢を取り続けないようにする
・湯船に浸かる習慣を付ける
・むくんでいる部位をマッサージする
・医療機関の指導の下、栄養バランスを整える


糖尿病性腎症の発症・悪化には高血圧も関係しており、糖尿病に高血圧が合併すると糖尿病性腎症以外の疾患(糖尿病網膜症・心臓疾患等)のリスクも上昇します。糖尿病の方は、医療機関の指導の下で毎日血圧を測定する・食生活や運動習慣を見直す・適切に薬を服用する等に取り組み、血圧を管理するよう心がけてください。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

生24-1767,商品開発G

関連記事

  • 転移性肝がんについて

    転移性肝がんについて

    肝がん【肝臓に発生するがん】には、原発性肝がん【肝臓の細胞が悪性腫瘍(がん)化して生じるがん】と転移性肝がん【他部位・他臓器で発生したがん細胞が肝臓に転移し発生するがん】があり、転移性肝がんは原発性肝がんよりも発症数が多いと言われています。この記事では、転移性肝がんについて解説します。

  • 腎臓に発生するがんの種類と血尿との関係について

    腎臓に発生するがんの種類と血尿との関係について

    腎臓に発生する腫瘍が良性であることは少なく、ほとんどが悪性腫瘍(がん)であると言われています。腎臓に発生するがんは種類により症状が異なり、発生しても症状が現れない可能性があります。この記事では、腎臓に発生するがんの種類と血尿との関係について解説します。

  • 食道胃静脈瘤の原因と治療方法

    食道胃静脈瘤の原因と治療方法

    食道胃静脈瘤(しょくどういじょうみゃくりゅう)とは、食道や胃に存在する静脈が拡張し、瘤(こぶ)状にふくらむ疾患です。この記事では、食道胃静脈瘤の原因と治療方法について解説します。