上手なアルコールとの付き合い方

上手なアルコールとの付き合い方

楽しく適度な飲酒は気分転換やストレス発散、血行促進などの効果があり、適量の飲酒であれば、心臓病、脳卒中などのリスクを低下させるとの報告もあります。しかし、アルコールの取り過ぎは肝臓に負担をかけるだけでなく、アルコールは食欲を増進させるため、肥満や中性脂肪の上昇などを招きます。また、アルコールは誘眠作用もありますが、睡眠の質を下げる働きもします。寝酒が習慣化するとアルコール耐性がついて、多く飲まないと寝られなくなり、眠りが浅い、夜中や早朝に目が覚めるなどの睡眠障がいになる恐れがあります。

1日の適正飲酒量

適量とされるアルコールの分量は、ビールなら中びん1本(500ml)、ウイスキーはダブルで1杯(60ml)、日本酒では1合(180ml)とされています。酒豪の人は「それだけ!?」と思われるかもしれませんが、体内でこれらのアルコールを分解するには、約4時間かかると言われています。更に飲酒を続ければ、内臓に負担をかけてしまい、生活習慣病だけでなく他の健康問題や社会問題のリスクが高くなることがわかっています。

お酒を楽しむための5つのポイント

1.空腹時のお酒はやめる
空腹時にお酒を飲むと、胃から小腸へのアルコールの吸収が速く、肝臓を経由して脳へ到達するため、すぐに酔いが回ります。また、アルコールが胃壁などを荒らしてしまうこともあります。

2.食事と一緒にゆっくりと味わう
お酒には食欲増進効果もあり、食べながら飲むことでアルコールは肝臓にゆっくり吸収され、血中濃度の上昇も抑えられます。チーズなどの脂肪分を飲酒前に摂っておくと、アルコールの刺激から胃の粘膜を守るとともにアルコールの吸収を遅らせてくれます。枝豆や豆腐、魚、肉などの高タンパク質は、肝細胞の再生を促進し、アルコール代謝酵素の活性を高めます。ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含んだ野菜や海藻を使用した料理と一緒に飲むこともオススメです。おいしい食事とお酒のマリアージュを賢く楽しみましょう。

3.チェイサーも忘れずに
悪酔いを防ぐために大切なことは、水を十分に補給しながら飲むことです。お酒と水(いわゆる、チェイサー)を交互に飲むことで味覚をリセットできますし、アルコールの胃腸への刺激も緩和できます。血中アルコール濃度の急上昇も抑えられるので、ほろ酔い気分が長く続きます。また、アルコールには利尿作用があるため、脱水症状を起こしやすくなります。水分をたっぷり補給し、アルコールを体外に排出しやすくしましょう。

4.自分のペースを押し付けない、無理強いはしない
お酒は、節度を守ってたしなむことが大切です。お酒に弱い体質や飲めない人への無理強いは絶対にやめましょう。

5.週に2日は休肝日
お酒を飲む曜日などを決めて、週に2日はお酒を休んで自分の身体をいたわりましょう。

新型コロナウイルス感染症の影響でおうち時間が長くなると、自宅での飲酒量が増える傾向があります。もう一度自分の飲み方・飲む量などを振り返ってみましょう。
東京臨海病院管理栄養士 日本糖尿病療養指導士 NST専門療法士 青木淳子
提供元:和洋女子大学、株式会社ライフケアパートナーズ

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