認知症予防におすすめの脳トレ ~計算問題編 ~

認知症予防におすすめの脳トレ ~計算問題編 ~

認知症予防におすすめの脳トレとして、よく挙げられるのが「計算問題」です。ではなぜ計算問題が脳の認知機能の向上に役立つのでしょうか。
計算能力と認知症の関連性やおすすめの計算問題をご紹介しながら解説していきます。

計算が苦手になるのは認知症のサイン!?

年をとると脳の認知機能が低下しやすくなる傾向にありますが、比較的早い段階で衰えが見られるようになるのが「計算力」です。計算力を司るのは脳の「前頭葉」で、計算力のほか、状況や状態を把握する判断力、順序立てて物事を行う遂行力も司る、認知機能において非常に重要な部位といわれています。

前頭葉の機能が衰えていくと計算力もあわせて衰えていくので、次第に単純な足し算や引き算ができなくなります。
計算力の衰えは認知症の判断基準の一つであり、「買い物のお会計がスムーズにできない」「家計の管理ができない」といった日常生活での困りごとにもつながっていきます。

認知症の方のなかには、レジで「お会計は476円です」と言われたとき、どの硬貨をいくつ出せばいいのかわからず、10,000円札など金額の大きなお札ばかりを使用して、財布に小銭が溜まってしまう方も実際にいらっしゃるそうです。

「簡単な計算」の脳トレで認知機能は鍛えられる?

計算力は衰えやすい機能ではありますが、日頃の脳トレで鍛えることもできます。脳を活性化させる手段としては、難しい計算問題にじっくり挑むより、単純な足し算・引き算をすばやく繰り返すほうが良いです。

MRIを使った脳の観察結果によれば、難しい計算よりも単純な計算問題に取り組んでいた人のほうが、左右両側の脳の前頭前野を中心とした活性化が見られたそうです。実際、計算の脳トレによって認知症が改善したという報告も得られています。

また、計算の脳トレによって、幸福度の上昇も期待できます。
人は何かの問題に直面し、頭を悩ませながら達成できたとき、達成感とともに脳から「ドーパミン」という快感物質が分泌され、幸福感を得られると考えられています。

このドーパミンは「やっとの思いで達成できた瞬間」に分泌されるものです。時間制限をつけることで単純な計算問題でも達成感を高められ、幸福度も大きくなります。計算問題での脳トレは制限時間を設けましょう。

認知症予防におすすめの計算脳トレ:ぱぱっとお会計

すばやく「ぱぱっとお会計」することは、計算力だけでなく、考えを取りまとめて情報を整理する「統合機能」、物体の方向や形を解析する「空間認識」も鍛えられるおすすめの脳トレです。


1.財布の中に入っている硬貨を机の上に出す(15~20枚程度で、1円玉、5円玉、10円玉、50円玉、100円玉、500円玉がランダムに入り混じっているのが理想です)。
2.全て絵柄の面にした状態で、合計金額を暗算で答える。制限時間は90秒。


暗算が難しい場合は、電卓を使っても構いません。

認知症予防におすすめの計算脳トレ:チラシで計算

スーパーのチラシを使った計算の脳トレです。「何を買ったか」「手持ちのお金はいくらか」など複数のことを同時に覚え、「お釣りはいくら返ってくるか」を手軽に計算することができます。
普段の買い物のお会計がスムーズにできない方にとっては、いいシミュレーションになるでしょう。


1.スーパーのチラシに記載された、肉や野菜などから、複数のもの(2~3つ)を選ぶ。
2.お会計はいくらか、1,000円出したときにいくらお釣りが返ってくるか計算する。制限時間は30秒。

認知症予防におすすめの計算脳トレ:数式の泉

紙とペンがあればできる、簡単なレクリエーションです。数式は無限にあるので、飽きずに楽しむことができます。対戦相手がいればさらに盛り上がるでしょう。


1.「答えが30になる数式は?」というように数字を指定する。
2.思いつく限りの数式をどんどん紙に書いていく。制限時間は60秒。
3.数式が間違っていたらマイナス1点、合っていればプラス2点(対戦相手がいる場合、相手が考えていない数式のみプラス2点、数式がかぶっていたらプラス1点とする)。

おわりに:簡単にできる「計算脳トレ」で楽しく認知症予防を!

自宅でも簡単に取り組める計算の脳トレをいくつかご紹介してみました。市販の計算ドリルでも計算力や認知機能の維持・向上は期待できるので、認知症を予防したい方や普段の買い物のお会計がスムーズにできない方は、ぜひトレーニングを習慣づけてみてください。



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