【仕事と介護の両立支援】施設の立地は親の住まいの近く?子の住まいの近く?

【仕事と介護の両立支援】施設の立地は親の住まいの近く?子の住まいの近く?

施設の立地に関しては正解のない難しいテーマです。この記事では、施設の立地について解説します。

施設の立地は親の住まいの近く?子の住まいの近く?

親と同居や近居であれば、施設は自宅近辺で探すことが一般的です。けれども、遠方の場合、どちらの傍で探せばいいのかと迷う声をよく聞きます。病気やケガ をすれば、施設から「すぐに来てください」と連絡が来ることもあるでしょう。遠方だと駆けつけるにも時間がかかります。とはいえ、施設入居のために親を呼び寄せるのも……
Mさん(50代)の母親は九州の実家で一人 暮らしをしていました。介護が必要となり、Mさんは自分の暮らす東京で施設を探し、母親を連れてきて入居させました。しかし、他の入居者は東京出身者が多く、九州弁で話すと目立ってしまうのです。一方で、スタッフから東京の言葉でケアされると、冷たく感じるらしく、元来、おしゃべりだった母親は無口に……。窓から見える風景も地元とはまるで異なり、次第に、心身とも弱っていきました。「連れてこなければよかった」とMさんは後悔しています。
Mさんの母親が入居しているのは、民間の有料老人ホームですが、もし、介護保険を利用しての入居なら、立地については更によく検討する必要があります。なぜなら、公的な施設の場合、住民票のある高齢者を優先して入居させるところもあるからです。特に、認知症の高齢者が少人数で暮らす"グループホーム"は、そもそも住民票のある自治体でしか入居申し込みができません。連れてくるなら、一定期間、子の家で同居するなどの対応が必要です。
施設の立地に関しては正解のない難しいテーマです。本人が地元を希望しても、例えば頻繁に病院に連れていかなければいけないような状態だと、子の近所でなければケアが難しいケースもあります。
本人とよく話し合い、今後の生活をシミュレーションしながら選びましょう。
◇施設の立地によるメリット・デメリット◇

○親の 住まいの近く
 (メリット)
・親が馴染みやすい(スタッフや他の入居者の方言、食事の味付け、周辺の風景)
・かかりつけの病院に通院可能
・たまには自宅に戻ることもできる
・面会等で地元の友人と会える
 (デメリット)
・子が通うには、その度に時間と交通費がかかる

○子の住まい の近く
 (メリット)
・頻繁に親と子が会うことができる
・緊急時の対応がスムーズ
 (デメリット)
・親にとって馴染みにくい
・かかりつけの病院の変更が必要
・親が地元の友人と会えない
・子が複数の場合、どの子の傍が良いか決めるのが難しい
提供元:介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子

生23-1633,商品開発G

関連記事

  • 血管迷走神経反射の原因と対処法

    血管迷走神経反射の原因と対処法

    血管迷走神経反射とは、何らかの刺激で迷走神経反射が起こり、血圧・心拍数が急激に低下する状態です。めまい等の影響で転倒した際に怪我をする恐れがあり、神経機能が低下している高齢者の方に起こりやすいと言われています。この記事では、血管迷走神経反射の原因と対処法について解説します。

  • 肝臓がアルコールを代謝する仕組みと摂り過ぎによる影響

    肝臓がアルコールを代謝する仕組みと摂り過...

    肝臓には、吸収した栄養を利用しやすい物質に変える・栄養を貯蔵する・必要に応じエネルギーを作り出す・不要な物質や有がい物質を解毒し排泄する等の働きがあります。また、肝臓は、アルコールの代謝【体内で行われる化学反応】にも関わっています。この記事では、肝臓がアルコールを代謝する仕組みと摂り過ぎによる影響について解説します。

  • COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療内容と日常生活の注意点

    COPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療内容と...

    COPD(慢性閉塞性肺疾患)を発症すると、咳・痰・息切れ等の症状が現れ、進行すると少し動いただけでも息切れするようになり、呼吸不全・心不全等を引き起こし命に危険が及ぶ可能性があります。この記事では、COPDの治療内容と日常生活の注意点について解説します。