糖尿病で感染症リスクが高まる原因と予防対策

糖尿病で感染症リスクが高まる原因と予防対策

糖尿病の方は、風邪や肺炎、結核、膀胱炎、腎盂腎炎などの感染症になりやすく、重症化しやすいと言われています。この記事では、糖尿病の感染症リスクの原因と予防対策について解説します。

糖尿病で感染症リスクが高まる原因

糖尿病の方は、以下の原因で感染症リスクが高まると言われています。また、糖尿病の方が感染症にかかると、血糖値が普段よりも上昇しやすくなるため糖尿病が悪化しやすくなり、感染症も進行しやすくなるため注意が必要です。

●免疫機能の低下
高血糖の状態が続くと、白血球(特に細菌を食べる貪食好中球)の機能が低下します。病原体の侵入を防げなくなることで感染へ移行しやすく、免疫機能が更に低下する悪循環に陥る場合もあります。

●血流の悪化
血糖値が高い状態が続くと、細い血管の血流が悪化して細胞に酸素や栄養が行き渡らなくなり、回復が遅くなります。また、白血球が感染部位に届きにくくなるため、感染症を起こしやすくなります。血流が低下すると内臓の機能も低下するため、内臓の感染症(肺炎や膀胱炎など)のリスクも高まります。

●神経障がい
高血糖の状態が続くと、変性した糖質が神経細胞に蓄積されることで神経の機能が低下し、内臓の活動が乱れやすくなります。また、痛みを感じる神経が鈍くなることで、感染症に気づくのが遅れやすくなります。

●薬の影響
SGLT2阻がい薬(経口糖尿病治療薬の一種)を投与している方は尿中の糖が増加するため、性器感染症や尿路感染症のリスクが高い傾向にあります。

●手術
糖尿病の方は感染症を起こしやすい状態です。腰椎の手術や変形性膝関節症などの手術をきっかけに感染症になる場合があります。

糖尿病の方ができる感染症予防対策

糖尿病の方が感染症にかからないようにするためには、まずは適切な糖尿病治療を行い、血糖値をきちんと管理することが大切です。感染症が流行している時期は、不要不急の外出は控えるようにしてください。手洗い、手指消毒、うがい、マスクの着用などの「通常の感染症予防対策」に関しては、感染症の流行の有無に関わらず励行することをおすすめします。

また、糖尿病が進行して末梢神経障がいを引き起こすと、痛みなどを感じにくくなります。糖尿病足病変(水虫や感染症、足の変形、潰瘍、壊疽など糖尿病が原因の足のトラブル)の発見が遅れやすく、重症化するまで気づかない場合もあります。足の爪の手入れなどの「フットケア」を、定期的に行うことが大切です。


湿度が高くジメジメした季節は、細菌や真菌などが繁殖しやすく、細菌や真菌が原因の感染症も増えやすいです。糖尿病の方は、基本的な感染症予防対策と並行して、フットケアにも力を入れるようにしてください。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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