免疫力を高める食事

免疫力を高める食事

免疫力とは、病原菌やウイルスなどの異物から体を守る機能のことです。免疫力が下がるということは、体を守る力が弱まるということなので、病気にかかりやすくなってしまいます。体内にあるリンパ球系の免疫細胞の約7割は、腸に集まっています。腸は、食べた物を消化・吸収するだけでなく、病原菌やウイルスなどの異物をやっつける「免疫」という体を守るしくみを持っています。従って、多くの免疫細胞が働くためには、腸内環境を整えて常に良い状態にしておかなければなりません。人の腸の中にはおよそ1,000種類以上、100兆個以上の細菌が住み着いていて、これらの細菌は種類ごとにグループを作っています。顕微鏡で腸の中をのぞくと「お花畑(フローラ)」のように見えることから「腸内フローラ」と呼ばれています。
腸内環境をよくするには、善玉菌を増やすことが大切です。また、免疫細胞はウイルスと戦うときに多くのエネルギーを必要とするので、バランスのよい食事を心がけ、栄養状態を良くしておきましょう。

免疫力を上げる食品・栄養素

免疫細胞や善玉菌を活発化させ、免疫力を上げるのは発酵食品や食物繊維、抗酸化作用があるビタミンA、C、Eなどです。

■発酵食品
ビフィズス菌などで作られたヨーグルトや、乳酸菌で作られたぬか漬け、納豆菌で作られた納豆、麹菌で作られた甘酒など、発酵食品には生きた善玉菌が豊富に含まれています。ヨーグルトやぬか漬け、納豆だけでなく、味噌や醤油、キムチやチーズなど、様々な発酵食品を食べることで善玉菌を直接摂取することができます。

■食物繊維が多い食品
食物繊維は腸内にいる善玉菌の栄養源になります。食物繊維には水に溶ける水溶性の食物繊維と、水に溶けない不溶性の食物繊維があり、善玉菌を増やすには水溶性の食物繊維が特に有効です。水溶性の食物繊維を多く含む食品には、蕎麦や麦などの雑穀、海藻、ごぼうやブロッコリーなどの野菜、豆、芋、キノコ、果物などがあります。


■ビタミン類が多い食品
・ビタミンA:人参、ほうれん草、春菊などの緑黄色野菜、卵、チーズなど。油と一緒に摂ることで吸収力が高まります。
・ビタミンC:レモン、いちご、オレンジ、ブロッコリー、ピーマンなど。熱に弱いので生で食べると効率良くとれます。
・ビタミンE:かぼちゃ、ブロッコリー、アボカド、ナッツ類など。ビタミンA、Cと一緒に摂ると相乗効果で作用が高まります。

免疫力を高める食事のポイントは「バランスの良い食事」が基本です。栄養のバランスが偏りやすい方は、できることから始めてみましょう。主菜(肉・魚介・卵・大豆製品)、副菜(野菜・海藻・キノコなど)、主食(ご飯・パン・麺)の組み合わせを基本として、一日のどこかで果物、乳製品を取り入れてバランスの良い食事を心がけてみてはいかがでしょうか。
執筆者:東京臨海病院管理栄養士 日本糖尿病療養指導士、NST専門療法士 青木淳子
提供元:和洋女子大学、株式会社ライフケアパートナーズ

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