認知症予防におすすめのゲーム ? 将棋や囲碁で脳トレ! ?

認知症予防におすすめのゲーム ? 将棋や囲碁で脳トレ! ?

近年は若手棋士の活躍がニュースになり、将棋や囲碁のブームが巻き起こっています。「子どもに習わせたい」という親も増えていますが、実はシニア世代が認知症を予防する観点でも将棋や囲碁はおすすめのゲームです。この記事で、将棋や囲碁が脳にどんな良い影響を与えるのかについて解説していきます。

「将棋」には認知症予防効果がある!?

将棋は、高齢者向けのデイケアなどの現場で、認知症の進行を予防するために長年取り入れられてきたゲームです。思考力や記憶力を高めるだけでなく、勝負がかかった対戦ゲームのために集中力が発揮されたり、対戦相手や同じ将棋仲間との交流の機会になったりするなど、様々な効果が期待できます。

将棋は、相手がどんな手を仕掛けてくるかを想像し、先を読むゲームなので、脳内の情報を検索する「前頭葉」が鍛えられると考えられています。(前頭葉の機能が衰えると、情報の検索がうまくできない状態になり、物忘れが激しくなる、注意力が低下するといった症状が起こるとされています。)

認知症には、アルツハイマー型や脳血管型といった様々な種類がありますが、いずれも脳の神経細胞が死滅していくのが特徴です。将棋による脳への刺激には、残っている神経細胞同士を結びつけ、死滅した神経細胞の分を補完する作用があると考えられています。このような補完作用によって、初期の認知症が回復したという報告例もあります。

また、将棋の長所は「駒に個性ある」ということです。将棋は、8種類の駒がそれぞれ異なる動きをし、取った相手の手駒を自分の手駒にして盤面に応じた活躍をさせ勝敗を競います。

やったことがない方が始めるときには駒の特性や将棋のルールを覚えるのが大変かもしれませんが、慣れてくると好きな駒ができたり、盤面を読んで様々な攻略法を思いつけるようになったりしていきますので、どんどん楽しめるようになり「将棋の醍醐味」に惹かれていくことでしょう。

認知症予防のゲームとしては「囲碁」のほうが簡単?

「将棋のルールや駒の動きを覚えるのが難しい」という方は、囲碁にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。もちろん、囲碁が将棋よりも「ゲームとして簡単」というわけではありませんが、囲碁のルールは「対戦相手と交互に打つ」「線と線の交わる点に碁石を打つ」「相手の碁石を上下左右に囲めば取れる」という3点になるので、ルールを覚えるというわずらわしさにおいては、将棋よりも取り組みやすいかもしれません。

2018年に発表された国内の研究によれば、89歳前後で囲碁経験のない認知症施設の入居者たちを対象に、囲碁の入門講座を教えたグループと教えないグループに二分したところ、「囲碁を教わった人たちは注意機能、ワーキングメモリー(複雑な情報を処理して対応する)が維持・向上し、教わっていない人たちはこれらの機能が低下した」という結果が得られたそうです。

このほかにも囲碁と脳の関係について調べた研究はいくつかあります。機能的磁気画像法という画像検査を用いた研究によれば、アマチュアの囲碁棋士が囲碁を打つ際には、脳の前側に位置する「前頭前野」、脳のてっぺんに位置する「頭頂葉」が活性化することがわかっています。特に前頭前野は思考力や注意力、集中力などの認知機能を担う重要な部位であり、ここが活性化することで認知症の予防につながるのではと考えられています。

囲碁は集中力だけでなく、広い盤面を読み取り、勝ち筋を見つける「大局観」が必要なゲームです。序盤は盤面全体のバランスを読み取る空間認知能力、中盤は相手の打ち方を読んで注意する機能、終盤は陣地の計算が必要になります。それぞれ頭の働かせ方が異なり、常に新しい方法を考える機会が増えるので、認知機能の維持や向上に適したゲームといえるでしょう。

おわりに:将棋や囲碁は、脳や心にもたらすメリットがいっぱい!

将棋や囲碁は認知機能の向上が期待できるだけでなく、趣味仲間や交流相手も見つけられるおすすめのゲームです。初心者のシニア向けに将棋会や囲碁会を開催しているところも多いので、頭を使った戦術系のゲームが好きな方は是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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