認知症の方におやつが必要なのはどうして?

認知症の方におやつが必要なのはどうして?

高齢で認知症を患っている方は、食が細くなることで低栄養状態に陥ったり、食べ物をうまく認識できなくなって食事を拒否したりするなど、食事の上で様々な問題に直面しやすいです。そのような問題の解決に「おやつ」が役立つことをご存知でしょうか。今回は認知症の方にとってどうしておやつが重要なのかを、おすすめのレシピとともにご紹介していきます。

高齢者にとって「おやつ」が重要である理由とは?

高齢になると、運動量の減少や身体機能の低下、嚥下障がいなどによって、食事量が少なくなりやすいです。さらに認知症患者の場合、認知機能の低下によって食事を拒否したり、食べ物を認識できなくなったり、食べ方がわからなくなったりして、ますます栄養の補給が難しくなります。

このような問題の解決に欠かせないものが「補食としてのおやつ」です。1日3回の食事では栄養を十分に補給できないとき、それを補う食事=捕食としておやつを食べてもらうことで、低栄養を防ぎます。また、おやつには栄養を補うだけでなく、食事とは違うかたちで「食」を楽しんでもらい、気分転換してもらうという目的もあります。

認知症の方におすすめのおやつのレシピ

認知症の方に限らず、介護が必要な高齢者に提供するおやつとしては、ゼリーやプリンなどのなめらかで口当たりの良いものが好ましいです。加齢に伴い唾液の分泌量が低下するとむせやすくなるため、パサパサした食感のものは避けたほうがいいでしょう。

認知症の方の補食としてのおやつには、以下のレシピがおすすめです。

■かぼちゃプリン
食事で野菜の摂取量が不足した場合、ビタミン・ミネラルが不足し体調を崩しやすくなります。また、高齢者は食事量が少なくなるため、食物繊維が不足して便秘になりやすいです。

かぼちゃには食物繊維が多く含まれており、腸内の老廃物や血管、内臓に沈着するコレステロールを吸着し、体から排泄させる作用があります。かぼちゃはそのままだとむせやすい食材ですが、裏ごししてプリン状にすることで食べやすくなります。

材料(プリン皿3つ分)

・かぼちゃ:80g
・牛乳:200ml
・卵(全卵):1個
・卵黄:1個分
・グラニュー糖:25g

作り方

1.かぼちゃの皮と種を除いて、適当な大きさに切る。
2.かぼちゃをラップに包み、電子レンジ(600W)で4分間加熱して柔らかくする。
3.ミキサーに柔らかくしたかぼちゃと牛乳を入れ、撹拌する。
4.ボウルに全卵と卵黄を解きほぐして、3とグラニュー糖を加えて混ぜる。
5.4をザルで裏ごしてから、プリン用の耐熱皿に流し込む。
6.蒸し器に5を入れ、弱火で8分間加熱すれば完成。

かぼちゃの自然な甘みが活かされたおすすめのおやつです。温かいままでも、冷蔵庫で冷やしてもおいしく召し上がることができます。

■トマトのコンポート
トマトの赤い色素のもとになる「リコピン」という成分には、強い抗酸化作用があることがわかっています。この抗酸化作用は、がんや生活習慣病、細胞の老化を進める要因となる活性酸素の働きを防ぎ、健康に良い影響があると考えられています。

材料(2人分)

・ミニトマト:200g(10?15粒)
・水:200ml
・砂糖:30g
・レモン汁:15ml

作り方

1.ミニトマトのヘタをとり、湯むきする。
2.鍋に水、砂糖、レモン汁を入れて火にかけ、シロップを作る。
3.2が沸騰したら火を止め、ミニトマトを入れて弱火にして数分間煮る。
4.器に移し、粗熱をとった後、冷蔵庫に入れて冷やせば完成。

もしシロップが残った場合は、ゼラチンや寒天で固めてもおいしく召し上がれます。

■フルーツのヨーグルトがけ
このレシピで使うバナナやイチゴ、ヨーグルトは栄養補給に優れた食材です。

バナナは多くの糖質・エネルギーが含まれたフルーツで、主食代わりになるうえ、ビタミンやカリウム、カルシウム、食物繊維などが豊富に含まれています。またイチゴは多くのビタミンCを含んでいるため、粘膜の抵抗力を上げて風邪を予防する作用が期待でき、「ペクチン」という食物繊維の一種が血中のコレステロール値を下げ、高血圧や動脈硬化を予防・改善する効果があると考えられています。

そしてヨーグルトなどの乳製品は、摂取量が多い人ほど認知機能低下のリスクが小さくなるという研究結果も得られており、カルシウム補給の面でも認知症の悪化を防ぐ面でも、高齢者にとって有効な食材として期待されています。

材料(2人分)

・プレーンヨーグルト:60g
・バナナ:1本
・いちご:2個
・甘酒:40g

作り方

1.耐熱容器にヨーグルトと甘酒を入れて混ぜ、電子レンジ(600W)で40秒ほど加熱する。
2.バナナを輪切りにし、いちごは食べやすい大きさに切って器に並べる。
3. 2に1をかけたら完成。

発酵食品同士の組み合わせなので、便秘解消効果が期待できます。冷たいヨーグルトを嫌がる方もいるので、レンジで少し温めて甘みをつけるのがポイントです。朝のおやつとしてもおすすめの一品になります。

おわりに:栄養補給や日々の楽しみとして「おやつ」を活用しよう

認知症の方におすすめのおやつのレシピを、3品ご紹介しました。主食をあまり食べない方や、栄養が偏りぎみな高齢者に対しては、おやつを上手く活用して栄養状態を改善してあげることが大切です。手軽に作ることができそうなレシピから、是非取り入れてみてください。

生20-2198,商品開発G

関連記事

  • 脳梗塞による麻痺(まひ)のリハビリテーション

    脳梗塞による麻痺(まひ)のリハビリテーション

    脳梗塞で麻痺を起こすと、寝たきりになることでうつ症状・認知症等を発症する可能性があります。この記事では、脳梗塞による麻痺(まひ)のリハビリテーション(リハビリ)について解説します。

  • 転移性肝がんについて

    転移性肝がんについて

    肝がん【肝臓に発生するがん】には、原発性肝がん【肝臓の細胞が悪性腫瘍(がん)化して生じるがん】と転移性肝がん【他部位・他臓器で発生したがん細胞が肝臓に転移し発生するがん】があり、転移性肝がんは原発性肝がんよりも発症数が多いと言われています。この記事では、転移性肝がんについて解説します。

  • 腎臓に発生するがんの種類と血尿との関係について

    腎臓に発生するがんの種類と血尿との関係について

    腎臓に発生する腫瘍が良性であることは少なく、ほとんどが悪性腫瘍(がん)であると言われています。腎臓に発生するがんは種類により症状が異なり、発生しても症状が現れない可能性があります。この記事では、腎臓に発生するがんの種類と血尿との関係について解説します。