心不全を悪化させないための自己管理ノウハウ ~①増加する心不全患者~

心不全を悪化させないための自己管理ノウハウ ~①増加する心不全患者~

心不全は、血液を全身に送るという心臓のポンプ機能が低下し、心臓から血液が十分に送り出せなくなった状態のことをいいます。全身への血液量が不足することで、体に水が溜まり、息切れやむくみなどの様々な症状が起こります。病名よりは、からだの状態を示す言葉です。

心不全の症状は風邪症状と間違われやすいことが多いです。代表的な症状について紹介します。※1
・体重の増加(2~3㎏以上の増加)
・坂道・階段での息切れ
・食欲不振
・むくみ
・夜間の呼吸困難や咳

心不全は、加齢に伴い増える代表的な疾患の一つで、その患者の多くは高齢者であり、高齢化の進行により心不全患者数の増加が懸念されています。特記すべきは心不全による入院患者数です。毎年入院患者数が増えており、更に、高齢化や生活習慣の欧米化を背景に今後も増加していくことが予測されます。

患者数の増加は、高齢化による心不全発症率の高まりだけでなく、一度、高齢の方が心不全を発症すると何度も入院することになったり、入院が長期化することが関係すると考えられています。2020年度DPCデータ(診療情報の全国統一データ)によると、わが国による慢性心不全患者を対象とした全国的な調査では心不全増悪による再入院率が退院後6カ月以内で27%、1年後では35%という状況であり、また日本の心不全患者の入院日数は、平均17.71日となっています。つまり、心不全は一度入院して治療後良くなって退院しても、再び入院しやすい病気なのです。

この繰り返しの入院は患者・家族の心身、経済的な負担を増加させます。ある病院の心不全による一人あたりの入院医療費が中央値で73.5万円、平均値で108.6万円と高額です。心不全患者の増加や繰り返す再入院により、今後医療経済面でも大きな問題となる可能性が予想されています。※2

心不全は再入院を契機に心臓のポンプ機能が更に低下します。このように、患者・家族の心身の面でも、医療経済の面でも、心不全の再入院をいかに防ぐかは非常に重要な課題です。高齢心不全患者が再入院する原因の半数近くは、薬の飲み忘れ・中断や、食塩・水分のとりすぎなどの自己管理不足と言われています。そのため、再入院を防ぐための自己管理には、「セルフケアメンテナンス」と「セルフケアマネージメント」が重要です。心臓を長持ちさせるには、生涯にわたり心不全治療を継続する必要があります。しかし、心不全の治療や自己管理をこれまでの生活の中に上手く組み込むことができれば、これまでと変わらない生活を送ることができます。
 
このシリーズでは、大阪心不全地域医療連携の会で作成した「ハートノート」から、心不全の自己管理の必要性や方法を学び、心不全を悪化させないための自己管理のノウハウをご紹介させていただきます。次回は、「自己管理の重要性について」です。
※1 出典:大阪心不全地域医療連携の会 「ハートノート」第3版 2021年11月
※2 出典:「大都市圏での高齢心不全患者の再入院防止を目的とした地域連携」公益財団法人田附興風会医学研究所北野病院 中根英策,田中希,猪子森明 日本循環器学会専門医誌 循環器専門医第27巻 2018年8月
提供元:一般社団法人健康医療クロスイノベーションラボ・大阪心不全地域医療連携の会 代表幹事 竹谷 哲 

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