認知症で転倒しやすくなる原因と転倒予防対策

認知症で転倒しやすくなる原因と転倒予防対策

認知症が進行すると、脳だけでなく体の機能も少しずつ低下していくため、転倒しやすくなります。転倒は骨折や寝たきりの原因にもなるため、介護のうえでも注意が必要です。この記事では、認知症の方が転倒しやすくなる原因と、転倒予防対策のポイントをご紹介します。

転倒しやすくなる原因と対策の必要性

高齢者は、加齢で筋力や運動機能が低下するため転倒しやすく、認知症の方は以下の原因により、認知症ではない方に比べて更に転倒しやすいと言われています。

・認知症の症状が、筋力や平衡感覚に影響することがある
・認知症の症状を抑える薬の副反応で、めまいやふらつきが起こることがある
・ご自身の身体機能の状態を、正しく把握できなくなる
・空間認識能力の低下により、階段や段差などでつまずきやすくなる

また、骨粗しょう症の方は、ちょっとした転倒でも骨折することがあります。認知症の方の中には、骨粗しょう症を併発している方もいます。認知症の方が骨折して寝たきりの状態になると、症状が更に悪化する可能性があるため、転倒予防対策が大切になってきます。

転倒予防対策のポイント

転倒は、慣れ親しんだ自宅の中でも起こることがあります。「転倒しやすい環境を見直す」ことで転倒を防げる場合もあるので、まずは自宅内の「転倒事故が起こりやすい場所」の環境を確認し、必要に応じて対策を始めることをおすすめします。

●自宅内で、高齢者の転倒事故が起こる場所の割合
居間、茶の間、リビング 20.5%
玄関、ホール、ポーチ  17.4%
階段            13.8%
寝室            10.3%
浴室             6.2%
※出典:内閣府 平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果(全体版)

リビングや玄関、部屋の入口などは、カーペットや敷居などの「ちょっとした段差」が多い場所です。カーペットをなくす、段差をスロープに加工をするなどの対策をしましょう。滑りやすいフローリングの廊下や浴室、つまずきやすい階段には、転倒防止用の手すりを設置することをおすすめします。可能であれば、自宅全体をバリアフリーにリフォームすると、転倒リスクを更に下げることができます。

認知症の方ご自身が転倒に注意することは難しいです。できる範囲でかまいませんので、身近にいる方が生活環境を整えたり、移動するときに手を貸してあげたりするようにしてください。近くで見てあげられない状況のときは、衝撃を和らげるヒッププロテクターなどを身につけてもらうようにしたり、歩く範囲に衝撃吸収マットを敷いたりすると、骨折のリスクを下げられます。

骨折は寝たきりの原因であり、寝たきりになることは認知症の悪化の原因になります。まずは、歩きづらそうな場所や滑りやすそうな場所から対策を始めましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

生21-5169,商品開発G

関連記事

  • 微小血管(びしょうけっかん)狭心症の特徴と治療

    微小血管(びしょうけっかん)狭心症の特徴と治療

    微小血管(びしょうけっかん)狭心症とは、心臓弁膜症等の疾患が認められず、直径100μm(マイクロメートル)以下の微小な冠動脈(かんどうみゃく)が充分に拡張しなかったり、著しく収縮したりすることで起こる狭心症です。この記事では、微小血管狭心症の特徴と治療について解説します。

  • 糖尿病が引き起こす皮膚トラブルについて

    糖尿病が引き起こす皮膚トラブルについて

    糖尿病の方は皮膚トラブルが起こりやすく、皮膚トラブルが悪化すると壊疽(えそ:皮膚・皮下組織等が壊死し、黒く変色した状態)等に進行し、日常生活に支障を来す可能性があります。この記事では、糖尿病が引き起こす皮膚トラブルについて解説します。

  • 直腸がんの症状と予防対策

    直腸がんの症状と予防対策

    直腸は大腸の一部であり、15cmから20cm程度の長さがあります。上部から直腸S状部・上部直腸・下部直腸に分けられ、上部でS状結腸からつながり下部で肛門へとつながります。この記事では、直腸がんの症状と予防対策について解説します。