【長生き応援シリーズ②】何歳になっても人生はこれから!~長寿社会での高齢者観

【長生き応援シリーズ②】何歳になっても人生はこれから!~長寿社会での高齢者観

"人生100年時代"と言われている現代、一人ひとりが安心して・自分らしく、より豊かに過ごすためには、誰もが関わる可能性のある認知症について正しい知識をもつとともに、明るく前向きに過ごすためのヒントを得ることが必要です。
今回は、前向きな人生を歩んでいくためにも大切な「高齢者観」ということについて考えていきたいと思います。

高齢者(高齢期)のイメージは?

人間誰もが年をとります。やがては高齢者と呼ばれる年齢にも到達していくでしょう。その「高齢者」についてどのようなイメージを持たれているでしょうか。「高齢者のイメージ」を聞いた各種アンケート調査の結果では、常に「虚弱である」「健康面で不安がある」が上位を占めます※1 。また、「仕事からの引退(社会的立場の喪失)」、「家族・友人との別れ」といった"喪失"体験を思い浮かべる人も少なくありません。残念ながらいつの時代も、高齢者に対しては、ネガティブなマイナスのイメージが想起されやすいのが実情です。 
確かに、年を重ねるにつれて体力の低下を体感したり、身体の不具合を感じることが多くなったり負の側面があるのも事実ですが、一方で、プラスなことも実は多いのです。このことにもっと着目すべきと思います。現役時代は仕事や子育て等に追われ、したいこともなかなかできない状況が続いたかもしれませんが、定年退職を迎えたり子育てを終える等すれば、今までの生活を一度リセットすることができます。どこに住むか、何をするか、どのように楽しむか等、新しい生活創造にチャレンジすることができます。「豊富な自由な時間」、「新たな生活(ライフスタイル)を選択・創造できるチャンス」「豊かな経験と資源を活かせる機会」等が得られることは高齢者ならではの特典と言えることです。
<高齢者に対する見方(イメージの整理)>
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移ろい変わる高齢者観

そもそも高齢者に対する見方、すなわち「高齢者観」というのは、誤った情報に支配されやすい傾向があります。高齢者のイメージをネガティブに捉えてしまう背景には、第一に、高齢者の実態が複雑でわかりにくいこと、第二にメディアの影響力があります。介護や認知症のこと等深刻な問題を抱える高齢者の姿が取り上げられるとその印象が強く残ってしまいます。第三には、潜在的な「エイジズム(ageism;高齢者差別)」という意識があります。エイジズムは、年をとることに対する怖れに根ざしたもので、病気のことや死への恐怖等に由来するものです。私たちが心がけるべきことは、"普通の高齢者"の実態を正しく知ることだと思います。親や祖父母、または身近な高齢の方をみれば、決してネガティブな印象はもたないはずです※2
もし「高齢者=社会的弱者」とするような見方をされていたら、これからは変えていくべきでしょう。誰もが高齢者になっていくなかで、そうした見方は自分の将来を否定することにもなります。これではせっかくの人生を後ろ向きに歩んでいくことになってしまいます。人は何歳になっても、どのような状態にあっても、社会の役割を担っています。高齢者も社会を支え続けます。そうした認識のもと、高齢者のポジティブな側面に注目しながら、"ポジティブに高齢期を生きる"、この考え方が、自分自身の将来、また日本の未来にとっても重要だと思います。
※1 内閣府「年齢・加齢に対する考え方に関する意識調査(2004年)」において「高齢者のイメージ」を尋ねた回答(複数回答)では、「心身が衰え、健康面での不安が大きい」(72.3%)が最も多い結果となっています。
※2古谷野亘、安藤孝敏編著「新社会老年学」(㈱ワールドプランニング、2003年)、P22-25
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