冬の食中毒に気をつけましょう

冬の食中毒に気をつけましょう

食中毒を起こす原因となる細菌やウイルスに汚染された食品や、有毒な物質が含まれている食品を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、おう吐という急性胃腸炎症状等をおこすことがあります。細菌による食中毒は細菌が食品中で増殖しやすい6月から9月頃に多く、ウイルスによる食中毒は冬に流行します。植物毒による食中毒は春の山菜狩りシーズン、秋のキノコ狩りシーズンに注意が必要ですし、フグ毒による食中毒は釣り上げたフグを自宅で調理して発生しています。このように食中毒は様々な原因がありますが、この記事では、冬に流行するノロウイルスによる食中毒の予防について考えてみたいと思います。

ノロウイルスによる食中毒の特徴

ノロウイルスは、少量でも手指や食品などを介して口から感染し、下痢、おう吐、吐き気、腹痛などの感染性胃腸炎の症状を起こします。また、ノロウイルスに感染した人は、症状が治まっても、または、症状が出なくても、長い時は1カ月ほどウイルスを排出し続けている場合があります。ノロウイルスによる食中毒の原因食品は二枚貝がありますが、食品を取扱う人がノロウイルスを保有していて、調理や配膳過程において食品を汚染してしまうこともあり、様々な食品からノロウイルスによる食中毒が発生しています。例えば、2017年には学校給食で海苔が原因の大規模食中毒が発生したこともありました。

ノロウイルスは、遺伝子変異や遺伝子組換えによる抗原の変異を頻繁に起こし、毎年幅広い年齢層に感染を引き起こします。また、下水中のノロウイルスのモニタリングが感染性胃腸炎の早期探知に有用であるという研究報告があり、下水中のノロウイルス濃度情報を流行の早期探知に活用しようという動きもあります。

家庭でできるノロウイルス食中毒予防のポイント

ノロウイルスによる食中毒の予防のポイントですが、「健康管理」「手洗い」「消毒」です。

まずは、普段からノロウイルスに感染しないように健康管理に気をつけることが大切です。どんなに気をつけていても、感染してしまうことはありますので、調理の前、食事前、トイレに行った後は必ず石けんで手を洗い、手に付いたウイルス量を減らすようにしましょう。また、汚染された調理器具や調理台の消毒も大切です。消毒には一般的には消毒用エタノールや逆性石けんなどが用いられますが、ノロウイルスを不活化する方法としては次亜塩素酸ナトリウム(200ppm)や熱湯が有効です。市販の漂白剤(塩素濃度約5%)であれば、5Lの水に漂白剤を20ml(250倍希釈)入れて作ることができます。

子どもや高齢者、免疫の低下した方などは、ノロウイルスに感染した場合に症状が重くなることがありますので家庭でも注意が必要です。
厚生労働省 パンフレットはコチラ
 (2941)

(厚生労働省 ノロウイルスによる食中毒予防のポイントより)
和洋女子大学家政学部健康栄養学科教授 獣医師(獣医学)・熊谷優子
提供元:和洋女子大学、株式会社ライフケアパートナーズ

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