生活習慣病予防ため、運動はどのくらいすればいいの?

生活習慣病予防ため、運動はどのくらいすればいいの?

糖尿病、高血圧、脂質異常症といった「生活習慣病」を予防するには、食生活の見直しと適度な運動が重要といわれています。では、どれくらいの目安でどのような運動をすればいいのでしょうか?以降で詳しく解説していきます。

運動はなぜ生活習慣病の予防にいい?

継続的な運動習慣には、下記のような効果があるといわれています。

・エネルギー代謝がよくなり、肥満が改善する
・中性脂肪が分解され、HDLコレステロール(善玉コレステロール)を生産しやすくなる
・インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きがよくなる
・血管の内皮機能を改善し、血圧を下げる作用がある
・ストレス解消の作用がある

肥満の改善や中性脂肪の分解、善玉コレステロールの増加、インスリンの作用向上、血圧を下げる作用などは、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病の予防・改善効果につながるものです。
実際に、「1日30分、週2回(合計週60分)の運動習慣がある人は、ない人と比べて生活習慣病の発症リスクが低い」ということが報告されています。

生活習慣病予防のために必要な運動量の目安は?

生活習慣病予防や健康のために必要とされる運動の目安は、以下のように年齢によって異なります。いずれの世代においても、「今より少しでも身体活動や運動習慣を増やす」という意識が大切です。

(生活習慣病の患者さんや持病のある方は、体に負荷がかかりすぎると健康を害する恐れがありますので、運動前にかかりつけ医に必ず相談してください。)

運動の目安:18~64歳

・身体活動(毎日の生活活動※1+運動)
3メッツ※2以上の強度(歩行か、それと同等以上)の体を動かす活動を、毎日60分(週に23メッツ以上)

※1 生活活動:日常生活における労働・家事・通勤などの身体活動
※2 メッツ:安静時を「1」とし、何倍のエネルギーを消費するかで表した運動強度のこと

・運動
3メッツ以上の強度(息が弾み、汗をかく程度)の運動を、毎週60分

運動の目安:65歳以上

・身体活動(毎日の生活活動+運動)
強度を問わず、身体活動を毎日40分

・運動
30分以上の運動を週2日以上行うようにする

運動を続けていくために心がけることは?

18~64歳までの人は「3メッツ以上の身体活動を毎日60分」+「3メッツ以上の運動を週に60分」するのが目安なので、これを達成するには以下のような活動・運動を日々積み重ねることをおすすめします。

・歩行(3メッツ/時)
・掃除(3.3メッツ/時)
・ウォーキング(4.3メッツ/時)
・ラジオ体操(4メッツ/時)

ただ、生活習慣病を予防する運動方法に決まった形があるわけではありません。何よりもしていくことが大切なので、「軽い運動でもいいから毎日続ける」ことから始めていきましょう。

・「今よりも10分多く、体を動かす」という意識を持つ
・通勤や買い物のときに早歩きを心がける
・エスカレーターではなく階段を使う
・こまめな掃除や洗濯で体を動かす

など、できることから取り入れていきましょう。

また、「週に60分行う3メッツ以上の運動」としては、前述のウォーキング以外に、軽い筋トレ、ピラティス、卓球などが、比較的負荷の軽い有酸素運動としておすすめです。少し負荷の高い運動としては、水泳、水中ウォーキング、テニス、ジョギング、山登り、サイクリングなどが挙げられます。

「息が弾み、汗をかく程度」の運動が目安ではありますが、毎週楽しく続けられる運動をしていくことが大切なので、休日の気晴らしとして実践しやすいものを選んでください。

おわりに:「楽しんで継続できる」運動の積み重ねが、生活習慣病予防につながる

生活習慣病を予防するには、毎日の通勤や家事の合間でなるべく多く体を動かすようにしたり、休日に適度な負荷の運動をしたり、といった積み重ねが重要です。「無理なく、楽しんで運動を継続する」ことが健康への近道なので、好きな運動・身体活動を習慣に取り入れていきましょう。

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