【長生き応援シリーズ】遺言信託について②~遺言信託の活用事例~

【長生き応援シリーズ】遺言信託について②~遺言信託の活用事例~

シリーズ「遺言信託について①~遺言信託とは?~」では、遺言信託とはどのようなものなのかをお伝えしました。
今回は、遺言信託の活用事例をご紹介します。

遺言信託の活用事例

80歳のA様の場合、同い年の配偶者(妻)と2人のご子息がいらっしゃいましたが、昨年、次男(配偶者あり、子どもはなし)に先立たれました。お持ちの財産は、3000万円相当のご自宅(土地・建物)と預金が約2000万円です。A様としては、①先祖代々の土地・建物は家業を継いでいる長男に譲りたいが、妻が元気なうちはこのまま住まわせたい、②妻の今後を考えると相応の資金も残してやりたい、③先立った次男の配偶者にもいくらか譲りたい、という思いがありました。また、現時点では、家族関係は良好でも、遺産のことで関係が悪化することも稀ではないことから、A様としては、きちんと遺言を残したいとお考えでした。

このケースでは、専門家のアドバイスで、(1)妻には、終身無償でご自宅に住むことができる配偶者居住権の設定と、老後の資金として1500万円を、(2)長男には、配偶者居住権の負担のある自宅土地・建物と250万円を、(3)他界した次男の配偶者にも250万円遺贈する旨の遺言書を、公正証書で作成しました。

この遺言書のポイントは、まず、㋐遺留分(一定の相続人に法律上保証された最低限の取り分)の侵害はない点、㋑2020年4月より新たに導入された配偶者居住権を遺言書上で設定することにより、万が一、家業が傾いて長男名義となった土地・建物が差し押さえられたり、家族が不仲になったとしても妻は安心して住み続けられ、かつ、老後の資金も確保されている点、㋒本来、相続人ではない次男の配偶者にも財産を譲れる点ですが、特に、㋑は、新たに導入された制度で登記が必要となるなど、手続が複雑で、高齢の妻や仕事で忙しい長男には、かなりの負担となりそうです。

そこで、この遺言書で専門家を遺言執行者に指定しておき、併せて遺言信託契約を結んでおくことで、複雑な手続は全て遺言執行者が処理してくれますし、相続人ではない次男の配偶者にも遺言どおりに財産を渡すことができるなど、残された家族に負荷をかけることなく確実に遺言を実現することができるのです。

遺言信託の身近な活用事例についてご紹介しました。次回は、遺言信託のメリットを詳しくお伝えします。
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※一部、「GranAge Star(グランエイジ スター)」のサービス提供法人である一般社団法人シニア総合サポートセンターに寄せられた声を元に構成しています。

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