【健康コラム】血管を元気にしよう~タバコから血管を守る~

【健康コラム】血管を元気にしよう~タバコから血管を守る~

生活習慣病全般に良いとされる生活習慣は認知症予防にも有効です。疾病の仕組みや原因、その予防方法について知り、健康的な生活を心がけましょう。

タバコは気管支炎、ぜんそくなどの肺の病気や、多くのがんの原因になることが知られています。他にも大きな影響を受けるのが血管です。タバコには、発がん性物質をはじめとする多数の有害物質が含まれていますが、血管に最もダメージをもたらすのは、血管を収縮させるニコチンです。ニコチンは末梢血管を収縮させて血圧を上げ、心拍数を増加させます。その結果、血管の内側に障害を与えて悪玉コレステロールが血管の壁に入り込みやすくなり、動脈硬化を促進します。また、喫煙により多量の一酸化炭素を吸い込むことにより赤血球は酸欠状態となります。これにより赤血球数が増加して血液はドロドロの状態になります。さらに、ヘモグロビンと結合した一酸化炭素は善玉コレステロールを減少させて動脈硬化を助長します。動脈硬化が進むことで、脳卒中や心筋梗塞などの心血管病のリスクが増大します。

タバコの害は、喫煙者だけでなくタバコを吸わない人にも受動喫煙といったかたちでタバコの害を被ることになります。タバコは百害あっても一利なし。以下を参考に節煙ではなく禁煙をしましょう。

禁煙の始めどき

風邪を引いて咳がつらかったり、体調がすぐれない、子どもや孫ができたのでタバコの害を与えたくないなど、ちょっとしたことが禁煙に挑戦するきっかけとなります。軽いタバコに変えたり、本数を減らすことはニコチン摂取がゼロになるわけではないため、意味がありません。また、無煙タバコや電子タバコなどの新たなタバコ製品が登場していますが、これらのタバコ製品にも、発がん性物質やその他の有害物質が含まれています。しっかりと禁煙開始日を宣言し、達成できるようにしましょう。

日常でタバコを吸いたくなった時の対処法

寝起きに吸いたくなる→ ベッド周りのタバコや灰皿を片付ける、起きたらすぐに歯を磨く
食後に吸いたくなる→ 食後すぐに歯を磨く、ガムなどで気持ちを紛らわす
コーヒーを飲むと吸いたくなる→ 飲み物をお茶や紅茶に変えてみる
お酒を飲むと吸いたくなる→ 禁煙のお店を選ぶ、タバコを吸わない人の隣に座る

禁煙を始めると、「1本だけなら…」と思う気持ちに注意しなければなりません。特に禁煙開始後の数日は、禁断症状が生まれたり、また禁煙に慣れてきても、時々吸いたい気分がわいてくることがあります。ここで1本吸ってしまうと、あっという間に自分の意志では禁煙をコントロールできなくなります。しかし禁煙には健康改善の効果以外にも、肌がきれいになる、食べ物が美味しく感じる、タバコ代が浮くなどといった効果がありますので頑張って乗り越えましょう。

禁煙は自分自身の健康のためだけでなく、家族や周りの人のためであることも忘れずに、もし自分一人で実行できない場合は、禁煙補助薬や禁煙外来なども検討してみましょう。
東京臨海病院管理栄養士 日本糖尿病療養指導士、NST専門療法士 青木 淳子
提供元:和洋女子大学、株式会社ライフケアパートナーズ

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