"人生100年時代"と言われている現代、一人ひとりが安心して・自分らしく、より豊かに過ごすためには、誰もが関わる可能性のある認知症について正しい知識をもつとともに、明るく前向きに過ごすためのヒントを得ることが必要です。
今回は、加齢とともに幸福感はどうなるか、という問いを考えていきます。
今回は、加齢とともに幸福感はどうなるか、という問いを考えていきます。
生活満足度は加齢とともに上昇
何歳になっても常に幸せを感じながら長生きしたいものです。しかし、年はとりたくない、長生きは厄介なことだと考える人も少なくありません。実際、年を重ねることで不安なことなどが増えていくのでしょうか。
内閣府が行った「国民生活に関する世論調査(令和元年度)」で「日頃の生活の中で、悩みや不安を感じているか」を聞いた結果をみると、「悩みや不安を感じていない」と回答した人の割合は50歳代、60歳代よりも70歳以上の人のほうが多くなっています(図表1)。
内閣府が行った「国民生活に関する世論調査(令和元年度)」で「日頃の生活の中で、悩みや不安を感じているか」を聞いた結果をみると、「悩みや不安を感じていない」と回答した人の割合は50歳代、60歳代よりも70歳以上の人のほうが多くなっています(図表1)。
図表1:日常生活で「悩みや不安を感じていない」と回答した人の割合
70歳以降も精神的健康状態は上昇
もう一つのデータを見てみましょう。図表2は、身体的な健康状態と精神的な健康状態について、80歳を基準にその前後を比較しています。結論としては、身体的な健康状態は、高齢になるほど低下していきますが、精神的な健康状態は逆に高まっていくようです。特に高齢になるほど"前向きな感情が高まる"傾向が示唆されています。確かに、心理学の中で、高齢になるほど"ネガティブな感情を最小にして、ポジティブな感情を最大にする"心理的適応が行われることが様々な研究から明らかにされています。これは、社会情緒的選択理論(情緒的調整)と呼ばれていることです。前向きに人生を謳歌していくための高齢者の"知恵"と言えることからかもしれません。"嫌なことはあまり考えず、楽しいことをより考えること"は、日々の生活をより前向きに充実させるためにも必要なことだと考えます。高齢者に限らず全世代が意識して心がけていくと良いかもしれません。
図表2:年齢と健康状態の関係のイメージ(80歳を基準とした場合)
以上のことから述べたいことは、実際の高齢者の実態(意識)も知ったうえで、"高齢期を明るく展望して欲しい"ということです。年をとることが全て下り坂のようなイメージを持たれている人は少なくありませんが、実際、年を重ねるごとに精神的な健康度は高まっていく傾向にあります。もちろん楽観的に言えることではありませんが、こうした事実も踏まえながら、自分自身、一人ひとりが「高齢期の生活を満足、不安なし」と答えられるようにしていくことが大切です。人生100年時代、"加齢に価値と希望のある人生"にしていくことが、いまを生きる私たちに課せられた課題でありチャレンジと言えるでしょう。
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