【長生き応援シリーズ】終活とは?④~遺言書のポイント~

【長生き応援シリーズ】終活とは?④~遺言書のポイント~

シリーズ「終活とは?③~エンディングノートのポイント~」では、エンディングノートを書くうえで注意すべきポイントをお伝えしました。今回は遺言書について、更に掘り下げてお伝えします。

遺言書は、あなたが築いた財産を後世にどのように遺すか指定するために書くものです。遺言は、満15歳以上で判断能力があれば誰でも作れますが、裏を返せば判断能力がなくなってしまうと作成できなくなります。大切な人に財産を遺したい気持ちや遺言を書いたほうがよいと思われる状況があるのでしたら、思い立ったときに一度書き上げてしまうのがよいかと思います。後になって気持ちが変わったら書き直せばよいだけのことですので。ただし、作成した遺言が無効となったり実現不能となったりしないように注意すべき事項がありますので、以下で特に重要な3つのポイントをお伝えしたいと思います。

遺言書のポイント

(1) 自筆証書にするか公正証書にするか
遺言書の一般的な方式としては3種類ありますが、その中でよく用いられるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。
「自筆証書遺言」は、その名のとおり遺言者自らが自筆で記す遺言のことです。費用をかけずに比較的簡易に作成できますが、法律に則った書き方をしていないと無効になってしまいます。
「公正証書遺言」は、公証役場の公証人に関与してもらい、公正証書として残す遺言のことです。公証人という法律の専門家が遺言を残す人の意思や遺言書の文言をチェックしますので、遺言書が無効となるリスクを可能な限り低くすることができますが、作成にあたっては費用がかかります。
自身の死後に無用な争いを招かないようにするには、専門家が意思確認を行う公正証書遺言がおすすめです。しかし、まずは一度書き上げることを優先するならば、自筆証書遺言を作ってみるのがよいでしょう。なお、2018年7月に相続法が改正され、自筆証書遺言に関するルールが変わりました。特に2020年7月から法務局が自筆証書遺言を保管してくれるようになり、以前に比べ、自筆証書遺言の弱点(紛失・改ざんのリスクや検認の煩雑さ等)が改善されましたので、こちらの制度を利用してみるのもよいでしょう。

(2) 遺言執行者を指定する
遺言を残すメリットの一つとして、相続人全員の同意を得ずに(相続人全員に実印の押印と印鑑証明書の提出を求めることなく)相続手続きできるということがあります。そのためには、遺言書の中で遺言執行者を指定する必要があります。遺言執行者とは、遺言の内容を実現するためにさまざまな手続きを行う者のことです。遺言執行者は、相続人・受遺者(遺言で財産を遺された人)の代表として、単独で預貯金や不動産等財産の解約払戻しや名義変更等の手続きを行うことができます。特に相続人以外の人に財産を遺そうとするときは必ず遺言執行者を指定しておきましょう。なお、遺言執行者には、相続人・受遺者を指定することもできますが、手続きを確実に行うために、費用はかかりますが専門家(弁護士、司法書士等の士業者や信託銀行、社団法人等の専門団体)に引き受けてもらうことを検討してみるのもよいでしょう。

(3) 遺留分に配慮する
遺留分とは、相続人のうち一定の者(配偶者、子、親等)に認められる最低限の遺産取得分のことです。配偶者、子ならば法律で定められた相続割合の2分の1を、親ならば3分の1を、それぞれ遺留分として請求できる権利があります。権利ですので行使しないという選択をすることもできます。そのため、遺留分を侵害する遺言も一応は有効なのですが、遺留分を持つ者が権利を行使し、相続人・受遺者に対して遺留分を取り戻す請求(遺留分侵害額請求)を行った場合、相続人・受遺者はこれに応じなければなりません。できるだけ相続争いを避け、遺言の手続きをスムーズに行うためには、遺留分を侵害しない内容の遺言を作成することをおすすめします。

次回は、いざというときに頼れる存在を確保するためのポイントをお伝えします。

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※一部、「GranAge Star(グランエイジ スター)」のサービス提供法人である一般社団法人シニア総合サポートセンターに寄せられた声を元に構成しています。

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