痛風腎の原因と予防対策

痛風腎の原因と予防対策

高尿酸血症(痛風)が進行すると、痛風腎(つうふうじん)を引き起こす可能性があります。この記事では、痛風腎の原因と予防対策について解説します。

痛風腎の原因

痛風腎とは、痛風の原因である尿酸が腎臓に溜まり、炎症を起こした状態です。尿酸は健康な方の体内にも一定量存在している物質であり、通常は血液等の体液中に溶けて体内を循環し、最終的に腎臓で濾し取られ、尿とともに排出(一部は消化管を介して排出)されることで適切な量(尿酸値)を保っています。しかし、何らかの原因で尿酸値が過剰に上昇すると、血液中に溶け切れなくなった尿酸がナトリウムと結合し「尿酸塩の結晶」となり、体内に蓄積していきます。痛風発作の主症状である「激しい痛み」は、免疫機能のひとつである白血球が尿酸塩に対して攻撃する際に生じるものです。

尿酸塩は関節に溜まりやすい性質を持っていますが、少しずつ他の臓器にも溜まっていき、腎臓に尿酸塩が溜まるようになると痛風腎を引き起こします。痛風腎では、腎臓に溜まった尿酸が結石となる場合があり、この結石が尿管を傷付ける際に、腹部・背部の痛みや血尿が生じる可能性があります。

痛風腎の予防対策

尿酸の材料であるプリン体の摂取量を減らし、水分を積極的に摂取し尿量を増やして尿酸の排出を促すことが、痛風、及び、痛風腎の予防につながります。水分を多く摂取することは、結石予防のためにもおすすめです。以下を参考にプリン体の多い食品を少ない食品に置き換えることも、プリン体の摂取量を減らすことに役立ちます。

●プリン体が多い食品の例
・魚の内臓(白子・あん肝 等)
・動物の内蔵(牛レバー・豚レバー・鶏レバー・砂肝・ホルモン・ハツ 等)
・魚の切り身・干物(いわし・さんま・あじ・かつお・ちりめんじゃこ・えび 等)
・旨味が強い食品(干し椎茸・かつお節・煮干し ・旨味調味料 等)

●プリン体が少ない食品の例
・魚のすり身加工品(魚肉ソーセージ・かまぼこ・焼きちくわ・さつま揚げ 等)
・魚卵(いくら・数の子・たらこ 等)
・一部の食肉加工食品(コンビーフ・ウインナーソーセージ 等)
・鶏卵・うずらの卵
・乳製品(牛乳・チーズ・ヨーグルト 等)
・野菜類・海藻類・きのこ類・穀類 等

なお、カロリー控えめの「バランスの整った食生活」を心がけ、有酸素運動を習慣化し、適正体重を保つことも、痛風・痛風腎の予防につながります。ただし、極端な食事制限や過度な運動を行うと、尿酸値が急上昇して痛風・痛風腎が悪化する可能性があるため注意してください。


痛風腎の発症率はあまり高くないと言われていますが、痛風腎から慢性腎不全に進行すると人工透析(低下した腎機能を人工的に補い、老廃物や余分な水分・塩分を取り除く治療)が必要になる可能性があります。痛風腎は、はっきりした症状がなく進行することもあるため、定期的に検査を受け、予防対策に努めることをおすすめします。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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