高齢者のリハビリの重要性とおすすめの運動

高齢者のリハビリの重要性とおすすめの運動

リハビリとは、「Re(再び)」と「habilis(適する)」を語源とし、「再び社会生活を営むために適する状態になる」ことを意味する言葉です。本来リハビリは「人間らしく生きる権利を回復し、自分らしく生きる」ために行われる活動を指します。この記事では、高齢者の方にとっての「リハビリの重要性」と、リハビリに活用できるおすすめの運動をご紹介します。

高齢者のリハビリの重要性

高齢者の方にとってリハビリが重要である理由は、主に以下のとおりです。

●転倒等による骨折の予防
筋力・柔軟性・バランス感覚・視力等が加齢に伴い低下すると、以下の変化が起こります。これらの変化は、転倒しやすくなる原因です。転倒による骨折は寝たきりの原因になるため、日常的にリハビリに取り組み、筋力の維持・向上を目指すことが大切です。

・歩幅が小さくなる
・歩く速度が遅くなる
・股関節の可動域が狭くなる
・足が上がりにくくなる
・蹴り出しの力が弱くなる
・上半身が前に傾きやすくなる
・段差等の障がい物に気づきにくくなる

●入院後の要介護状態の予防
高齢になると、怪我や疾患等で入院の機会が増えます。入院の長期化は、筋力・身体機能の低下を引き起こし、寝たきりや認知症による要介護状態を引き起こす可能性があります。退院後の要介護状態を予防し、可能な限り自立した生活を送れるようにするためには、入院中・退院後のリハビリが大切です。

●廃用症候群の予防
廃用症候群とは、過度の安静によって著しく運動量が減少したことにより、筋力や心肺機能の低下・抑うつ等を引き起こした状態です。入院による寝たきりが主な原因ですが、「痛みがあるので動きたくない」「疲れるので体を動かしたくない」等の理由で、長期間体を動かさない状態が続いたことが原因になる場合もあります。「できる範囲で体を動かす」ことが予防につながり、リハビリの第一歩になります。

手軽にできるおすすめの運動

ウォーキングは、「手軽にできるリハビリ」としておすすめの運動です。以下のポイントに注意しながら、可能であれば「20分程度の早歩き」から取り組み始めましょう。

・できるだけ姿勢を正し、少し先をまっすぐ見るイメージで歩く
・楽しめる工夫をする(名所巡り・街歩き等)
・歩きやすく滑りにくい靴や靴下を選ぶ
・雨や雪等の「悪天候の日」は、屋外でのウォーキングを避ける
・見え方に問題がある場合は、医療機関を受診する
・薬を服用している方は、めまい等の副反応に注意する


ウォーキング等の簡単な運動を習慣化することは、手軽なリハビリとしておすすめです。リハビリで筋力・体力の低下を防ぐことは、転倒による骨折のリスクを低減するだけでなく「QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)」の向上にもつながります。ご自身の状態に合わせ、無理のない範囲で継続するようにしましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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