【長生き応援シリーズ】遺言信託について①~遺言信託とは?~

【長生き応援シリーズ】遺言信託について①~遺言信託とは?~

いつか必ずやってくる"その時"に備えてしたためておく遺言。この世に残す自分の財産をどうすればいいかは悩ましいところですが、せっかく作成した遺言書も、実現されなければ「絵に描いた餅」となってしまいます。また、遺言による場合を含め、相続手続は思った以上に難解で、相続人や受遺者に負担をかけることも。そこで有効なのが遺言信託。相続の専門家が難解な相続手続を代わって行い、遺言の内容を確実に実現します。

遺言信託とは

遺言信託とは、簡単に言うと「遺言書の作成をサポートしてもらい、そして完成した遺言書を保管してもらうとともに、相続手続(遺言執行手続)について、あらかじめ専門家に委託(委任)しておく」というサービスです。なお、後ほど解説しますが、遺言信託という用語は、遺言で信託(民事信託等)を設定する、という全く別の意味で使われる場合もあります。
一般的な遺言信託では、受託者となる専門家が遺言書の作成に携わることから、ご本人の要望に沿った内容で法律的にも有効な遺言書が作成できるので、来るべき"その時"に備えることができます。

次に、備えておきたいのが相続手続のことです。人は死亡すると、法律的にはその瞬間から相続が開始されますが、言うまでもなく、ご自身の相続手続を自分で処理することはできません。そこで、あらかじめ遺言書に、この遺言を実現する者として「遺言執行者」を指定しておき、同時に、遺言執行者に指定した者と相続手続を委託する契約を締結しておきます。

なぜ、「遺言書で指定したのに別な契約が必要なの?」と疑問に思うかもしれませんが、遺言書では、相手の承諾なしに、ある意味一方的に遺言執行者を指定することができますが、その分、いざその段になって断られてしまうリスクがありますし、また、遺言書では定めきれない詳細な事項を取り決めておくことで、ご自身が旅立たれた後も安心して相続手続を委ねることができるのです。

そして、いよいよ"その時"が来たとき、遺言執行者に指定した専門家が、ご自宅や自動車の名義変更手続、預貯金の名義変更や解約払い戻し、公共料金の処理、ご葬儀や入院費の支払いなど、いざとなると手続方法が分からず、思っている以上に煩雑な相続手続を、相続人や受遺者に代わって手続してくれます。もちろん、遺言書の通りに遺産の分配まで行ってくれるので、残されたご家族やご親族の皆様にご負担をかけることもないことから、遺言者であるご自身の意思を確実に実現する手段として、遺言信託は万全の備えと言えるでしょう。

最後に、似て非なるものとして、近年注目されている「民事信託」や「家族信託(一般社団法人家族信託普及協会)」と呼ばれるものがありますが、こちらは、「信託法」という法律に基づいて行う「財産管理の一手法」で、遺言的な機能を果たす場合があるものの、遺言信託とは全く別の制度ですのでご注意ください。

このように遺言信託は、相続の専門家が関与することによって、ご自身の意思に沿ったうえで、遺言の内容を確実に実現することができます。
では、遺言信託は具体的にどのように活用されるのでしょうか?次回は、実際の活用事例をご紹介しながら、より詳しく遺言信託についてお伝えします。
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※一部、「GranAge Star(グランエイジ スター)」のサービス提供法人である一般社団法人シニア総合サポートセンターに寄せられた声を元に構成しています。

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