肝血管腫の特徴と治療方法

肝血管腫の特徴と治療方法

肝血管腫は、肝臓内で毛細血管が異常増殖し、絡み合うことで塊となった良性腫瘍です。この記事では、肝血管腫の特徴と治療方法について解説します。

肝血管腫の特徴

肝血管腫の原因ははっきりと分かっていませんが、血縁に肝血管腫の病歴がある場合にリスクが高くなったり、ホルモンバランスが乱れることで肝血管腫が大きくなったりする可能性があること等から、遺伝・ホルモンバランスが関係していると考えられています。肝血管腫が健康に悪影響を及ぼすことはほとんどなく、肝がんになることは非常にまれであり、転移したり他の臓器に影響を及ぼしたりすることもないと言われています。そのため、超音波検査・MRI検査・CT検査等で肝血管腫が発見された場合でも、基本的には定期検診による経過観察を行います。

ただし、肝血管腫が多くなったり巨大化したりすると、腹部の張り・腹部の不快感・食欲不振・吐き気・嘔吐・黄疸(白目や皮膚が黄色くなる状態)等の症状が現れ、破裂するリスクも生じます。また、カサバッハ・メリット症候群(血液凝固異常が起こる疾患)を合併した場合は出血が止まりにくくなる可能性があるため、怪我等に注意する必要があります。

肝血管腫の治療方法

腫瘍の巨大化が進んでいる・腫瘍が肝臓の表面に突出している・血液凝固異常が見られる・肝炎や肝硬変を発症している等の状態である肝血管腫では、治療が検討されます。一般的には、腫瘍が4cm以上に至る肝血管腫は破裂のリスクが高く、他の疾患を引き起こす恐れがあると言われているため、以下の方法による切除手術が検討されます。なお、切除手術以外では、肝動脈塞栓術(かんどうみゃくそくせんじゅつ:肝臓に流れている血液を止める治療)・放射線治療が行われる可能性があります。

・腹腔鏡下手術:切除による負担が比較的小さいとされる治療方法。肝血管腫があまり大きくなっていない場合に選択される
・開腹手術:肝血管腫が大きくなっている場合に選択され、肝機能の状態・肝血管腫と正常な血管との接合部位の状態等を調べるための検査が手術前に行われる。出血のリスクが想定される場合には、そのリスクに備える


肝血管腫を発症しても基本的には症状は現れず、経過観察を行う必要はありますが、健康的な生活習慣を心がけていれば通常通りの日常生活を送ることができると言われています。健康診断等で肝血管腫の疑いがあると指摘されても過剰に心配する必要はありませんが、上記で説明したようなリスクもあるため、念のため、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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