【長生き応援シリーズ⑮】人生100年時代、高齢期の楽しみ方

【長生き応援シリーズ⑮】人生100年時代、高齢期の楽しみ方

"人生100年時代"と言われている現代、一人ひとりが安心して・自分らしく、より豊かに過ごすためには、誰もが関わる可能性のある認知症について正しい知識をもつとともに、明るく前向きに過ごすためのヒントを得ることが必要です。
今回は、高齢期の「楽しみ」をテーマに、実態を見ながら考えていきたいと思います。

高齢者は普段何をして楽しんでいるのか?

人生においては常に、楽しみを持つこと、生きがいを持ち続けることが大事です。それは長生きにもつながると言われています。何が楽しいかは人それぞれではありますが、特に自由な時間の多い高齢期において、高齢者はどんなことを楽しみにしているのでしょうか。

内閣府の調査で、60歳以上の人(3,893人)に、「普段の生活で何を楽しみにしているか」を尋ねた調査結果を見ますと(図表1)、最も多かったのは「テレビを見る・ラジオを聞く」ということでした。男女合わせて83.2%の人が楽しみと回答しています。次いで、「新聞、雑誌を読む」(55.0%)、「仲間と集まったり~人と交際すること」(47.7%)、「食事・飲食すること」(47.5%)、「旅行すること」(41.2%)、「家族との団らん、孫と遊ぶこと」(40.1%)、「買物、ウィンドウショッピング」(31.3%)と続きます。回答する選択肢が限られた中での調査結果ではありますが、その中で人が楽しみと感じることが様々であることが確認できます。

ただ、次の2つのことが気にかかります。1つは、「各々の人が有する楽しみの数があまり多くはない」と推測される点です。複数回答であるにも関わらず、楽しみと回答する割合が全体的に低く、3割を超えているのは前述の7つのことだけです。それ以外のことは3割を満たしていません。楽しいことは1つだけあれば良い、また、「テレビを見る、人と交流する、食事をするだけで十分楽しい」という考え方も理解できますが、それ以上に、人生を豊かにするうえで楽しいことは多いに越したことはないでしょう。

このことに関連してもう1つ挙げられることが、「多趣味である人があまり多くはないのではないか」と推測される点です。趣味は、「楽しい」と感じられることだと考えますが、選択肢にある「主に屋外で行う趣味活動」に回答したのは19.9%、「主に室内で行う趣味活動」は14.3%です。その他の選択肢(例えば、テレビを見ることなど)が趣味として捉えられた結果、このような割合になっている可能性はあるものの、例えば、園芸や庭いじり、写真や絵画、音楽活動、自分史づくりなど、趣味は様々挙げられつつも、勤しんでいる人は実際あまり多くないのかもしれません。
図表1:普段の楽しみ(60歳以上の人の回答、n=3,893、複数回答)
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※上記の数値は「合計」の値
資料:内閣府「平成26年度 高齢者の日常生活に関する意識調査結果」

人生100年時代は多くの時間があり、たくさんの楽しみを経験できる

なぜ、こうした点に注目したかといえば、"人生100年時代は多くの時間があり、新たなチャレンジも可能であり、たくさんの楽しみを経験できる"と考えるからです。テレビを見て、人と交流して、食事を楽しむだけでも十分かもしれませんが、そうした生活の継続だけに止まらず、さらに、新しいことにチャレンジする、新しい楽しみを見つけることで、人生の中身をより充実させることができるのではないでしょうか。

例えば、リタイアした後、芸術に目覚め画家を目指す、音楽に励み演奏会を開く、外国語を話せるようになるなど「新しい自分づくり」につながるようなことや、農業を始めて自給自足の生活を目指すといった「新しい生活環境」を創ること、全国の温泉を網羅するといった「新しい楽しみ」に積極的にチャレンジすることなど様々なことがあります。人生100年時代は多くの新しい自分、新しい生活を創造できるチャンスがあるということを念頭に、ぜひ新しい楽しみをたくさん見つけ、楽しんでいただきたいと思います。

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