高次脳機能障がいのリハビリについて

高次脳機能障がいのリハビリについて

高次脳機能障がいとは、脳卒中(脳梗塞・くも膜下出血・脳出血等)や交通事故等による脳の損傷が原因で、記憶障がい・注意障がい・社会的行動障がい・遂行機能障がい等が現れる状態であり、現れている症状・障がいに合わせてリハビリが行われます。この記事では、高次脳機能障がいのリハビリについて、障がい別に解説します。

記憶障がいに対するリハビリ

記憶障がいでは、事故や疾患の前に経験したことを思い出せなくなる・新しいことを覚えられなくなる等が起こり、主に以下のリハビリが行われます。

・反復訓練:一度に覚える情報を少なくする等の工夫をしながら、何度も繰り返し訓練を行う
・記憶の代償手段:情報を記録する媒体(ホワイトボード・ICレコーダー等)・行動開始を助ける媒体(タイマー・目覚まし時計等)・スケジュールを管理する媒体(スケジュール帳・携帯電話のスケジュール機能等)等を使用する
・環境を整える:置き場所を決める・すぐに置き場所に戻す・約束や予定を目に付く場所に書く・行動をパターン化する・日課どおりに行動する等を心がける

注意障がいに対するリハビリ

注意障がいでは、意識を向けられなくなる・集中できなくなる・外部からの刺激等を見落とす等が起こり、主に以下のリハビリが行われます。

・集中力を伸ばす:一度に多くの作業をしない・作業をひとつひとつ行う・集中する時間を少しずつ延ばす等の指導が行われ、興味のある作業や簡単な作業から始める場合もある
・環境を整える:整理整頓された静かな環境を用意する・意識を向けやすくなる工夫をする(必要な動線等の目印をつける・作業の手順を段階的に示した手順表を使用する等)等を心がける

社会的行動障がいに対するリハビリ

社会的行動障がいでは、行動・感情等を状況に合わせ適切にコントロールできなくなる等が起こり、以下の点に注意しながら、行動療法(不適切な反応を修正しながら適切な行動・感情を習得させる治療法)等を中心にリハビリを行います。

・やる気がない場合:直接「怠けている」等の指摘はせず、行うべき活動・仕事等のチェックリストを作り、具体的な方向性を示す
・自身の障がいに気付いていない場合:できたことを褒めるようにする
・感情をコントロールできない場合:不適切な行動を感情的に指摘せず、具体的に分かりやすく指摘する
・行動がコントロールできない場合:行動を開始する前に立ち止まって考えることを習慣付ける
・興奮している場合:無理に落ち着かせようとせず、席を離れる・話題を変える等を試みる

遂行機能障がいに対するリハビリ

遂行機能障がいでは、計画を立てられない・計画どおりに行動できない・必要な動作を円滑に行えない等が起こり、以下の点に注意しながらリハビリが行われます。

・反復訓練を行う場合:新しい訓練は少しずつ取り組むようにする
・訓練中ミスをした場合:ミスを否定せず、ミスした部分を介助する
・フィードバックする場合:ミスをしなくなった段階で新しい目標・計画を立てる訓練を行い、その都度フィードバックし問題点を探る


高次脳機能障がいのリハビリでは、支援制度が助けになる場面も出てくると思います。状況に合う支援制度を活用できるよう、お住まいの自治体等に相談してみてください。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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