"人生100年時代"と言われている現代、一人ひとりが安心して・自分らしく、より豊かに過ごすためには、誰もが関わる可能性のある認知症について正しい知識をもつとともに、明るく前向きに過ごすためのヒントを得ることが必要です。
今回は、前回(長生き応援シリーズ②「何歳になっても人生はこれから!~長寿社会での高齢者観」 )に引き続き、「高齢者のイメージ」について今日的な視点から考えていきたいと思います。
今回は、前回(長生き応援シリーズ②「何歳になっても人生はこれから!~長寿社会での高齢者観」 )に引き続き、「高齢者のイメージ」について今日的な視点から考えていきたいと思います。
身体能力は約10歳若返っている
日本人の平均寿命は戦後から毎年伸び続けていることは、よく知られていると思いますが、"若返り"ながら長生きできるようになっていることをご存知でしょうか。今と昔の高齢者の体力等を比較すると、今の高齢者が"若返っている"ことが、いくつかの調査研究結果から明らかとなっています。代表的な研究に、健康・生活機能・死亡の予知因子であることが知られている「通常歩行速度」を、1992年と2002年で比較した「日本人高齢者における身体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」があります。その結果(数値)を見ると、2002年の高齢者は1992年の高齢者よりも"約10歳程度"若返っていることが確認できます。例えば、今75歳の高齢者は昔の65歳と同じ身体能力を有しているということです。
図表1:通常歩行速度の差異
出典:経済産業省「長寿社会における成長戦略 参考資料」(平成23年6月22日、事務局)
出所:鈴木隆雄他「日本人高齢者における身体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」(第53巻第4号「厚生の指標」2006年4月、P1-10)より引用
出所:鈴木隆雄他「日本人高齢者における身体機能の縦断的・横断的変化に関する研究」(第53巻第4号「厚生の指標」2006年4月、P1-10)より引用
若返り傾向は近年まで続いている
前述の結果は少し古いデータではありましたが、スポーツ庁が実施している「体力・運動能力調査」における各年の結果をみても、今の高齢者の若返りの状況が確認できます。65~79歳までの高齢者(男女)について、新体力テストの項目である「握力」「上体起こし」「長座体前屈」「開眼片足立ち」「10m障がい物歩行」「6分間歩行」の総合成績を示す合計点は、男女ともにどの年齢層でも上昇傾向にあります。
図表2:新体力テストの合計点の年次推移(高齢者65~79歳)
資料:スポーツ庁 平成30年度「体力・運動能力調査」より作成
高齢者のイメージを若返らせよう
このように"いまの高齢者は若返っている"のです。このことに関連深いこととして2017年1月になりますが、日本老年学会・日本老年医学会は「高齢者の定義と区分」について、画期的な提言を発表しています。以下のように、65~74歳を「准高齢者」、75~89歳を「高齢者」、90歳以上を「超高齢者」として区分することを社会に提言したのです。
この提言の背景には、前述のとおり、日本の高齢者の身体能力の"若返り"が確認されるなかで、個人差はあるにせよ、特に65歳以上の人の中で比較的体力的に若く、活動的な人を高齢者と定義することやされることに違和感を抱いていた人が少なくないこと、また65歳以上の人を「一括り」に高齢者として定義することへの違和感が世の中に潜在していたことがあります。
こうした実態も踏まえながら、お一人おひとりが抱いている高齢者のイメージも若返りさせることが大切です。人生100年時代、活発的に過ごせる期間は延びています。若々しい高齢期をできるだけ長く過ごしていただくように、意識も行動も前向きに変えていきましょう。
こうした実態も踏まえながら、お一人おひとりが抱いている高齢者のイメージも若返りさせることが大切です。人生100年時代、活発的に過ごせる期間は延びています。若々しい高齢期をできるだけ長く過ごしていただくように、意識も行動も前向きに変えていきましょう。
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