【長生き応援シリーズ】成年後見人とは?デメリットや気になるお金に関して①~成年後見制度が出来た理由~

【長生き応援シリーズ】成年後見人とは?デメリットや気になるお金に関して①~成年後見制度が出来た理由~

「夫が亡くなり1人になってしまった」、「いざという時に頼れる子どもは遠方に住んでいる」、「子どもが近くにいても負担をかけたくない」、「子どもと疎遠になっている」、「子どもが居ない」などの家族関係の変化や、2025年には65歳以上の高齢者のうち5人に1人が認知症になると予測されるなどの理由から、ご自身の老い支度として成年後見制度をよく理解したいという方が増えています。
一見わかりにくい制度ですが、ポイントを理解しておくだけで随分と違います。制度を理解していなかったがために困った状況を招いてしまったということのないように、正しい知識を身につけておきましょう。

成年後見制度とは

現在の成年後見制度は、2000年4月から介護保険制度と一緒に始まりました。認知症、精神障がい、知的障がいなどの理由で判断能力が不十分な方々を保護・支援することを目的としています。
私たちが日常生活を送る上では様々な能力が備わっていなければなりません。とりわけ、判断能力の不十分な方々は、所有不動産を維持管理したり、金融機関での手続きを行ったり、介護保険や障がい福祉サービスを利用したり、施設入所の契約を行ったり、遺産分割の協議をしたりすることが難しい場合が少なくありません。必要に迫られても自分だけでは正しい選択ができず、不利益な契約を結んでしまったり、悪徳商法の被害に遭ってしまったりするおそれもあります。そのようなことのないように、ご本人に代わり財産管理と身上監護に関する法律行為を行う者(後見人)を選任し、ご本人を保護・支援するのが成年後見制度の本旨です。後見人は、法律行為を行うのが本来の役割のため、買い物同行や介護などの事実行為は通常行いません。
成年後見制度には、ご本人の判断能力があるうちに、将来に備えてあらかじめご本人が後見人を決めておく「任意後見」と、認知症などによりご本人の判断能力が低下した時に、家庭裁判所に後見人を決めてもらう「法定後見」があります。

成年後見制度ができた理由

日本では、現在の成年後見制度が開始する以前は、明治31年施行の禁治産制度・準禁治産制度がありました。この制度は、200年以上前のフランス民法典(ナポレオン法典)に倣い、ご本人を社会から隔離・保護する考えに基づいて制定されたものでした。判断能力が不十分で、自らが行った法律行為の結果を予測・判断することができない者や心神喪失者を「禁治産者」とし、心神喪失者より症状の軽い者、つまり心神耗弱者や浪費者を「準禁治産者」として、裁判所からそれぞれの宣告を受けると行為能力に大幅な制限を課されることになりました。
いったん禁治産や準禁治産の宣告を受けると戸籍に記載され、行為能力が制限されるとともに自動的に公務就任や公的資格の欠格事由となり、公権的に能力が劣った人間の烙印を押されるかのような印象を持たれてしまったため、制度利用が躊躇されたり、利用した場合に社会から隔離・差別されたりする原因となっていました。ご本人の残存能力に対して後見人の権限が強すぎ、人権侵害となっていた、ご本人の配偶者が後見人とされ、人数も1人だけで、法人は後見人になれなかったなど、利用する上で多くの問題点もありました。
その後、1960年代以降、欧米では、高齢でも障がいがあっても特別扱いせずに、そうでない人と同じように生活できるようにすることが大事とする「ノーマライゼーション」の考え方が広がり、日本でも、ご本人の残存能力を活かし、その意思を尊重しながら自己決定を支援する考え方が徐々に浸透し、現在の成年後見制度の成立へとつながっていきました。この考え方は現在でも制度の中核をなしており、2018年~翌2019年にかけて、地方公務員法その他各種法律から、成年後見人が選任された者は公務員や法人役員といった資格や地位を失う旨の欠格条項が削除されたのもこの考え方に基づくものです。
今回は、成年後見制度とはどういうものなのか、また、制度ができた理由をお伝えしました。次回は成年後見人にかかってくる費用について詳しくお伝えします。
日本生命では、将来、自分の想いを託せる方が見つからない方のために、ご家族やご親族に代わって、生前から死後までをサポートするご契約者向けサービス「GranAge Star(グランエイジ スター)」をご案内しております。
https://www.nissay.co.jp/kaisha/granage_pj/torikumi/granage_star/

※一部、「GranAge Star(グランエイジ スター)」のサービス提供法人である一般社団法人シニア総合サポートセンターに寄せられた声を元に構成しています。

執筆者:一般社団法人シニア総合サポートセンター

生21-2051,商品開発G

関連記事