認知症予防にはゲームアプリやテレビゲームがおすすめ!?

認知症予防にはゲームアプリやテレビゲームがおすすめ!?

スマートフォンやタブレットが普及したことで、若い世代だけでなく多くの世代がゲームを楽しんでいます。最近の研究では、ゲームアプリやテレビゲームには認知症を予防する効果があると考えられるようになってきています。では、どのようなゲームにどんな効果が期待できるのでしょうか。

スマホアプリやタブレットでのゲームは認知症予防に有効?

認知機能を維持するために大切といわれるのが、脳の前方にある「前頭前野」です。前頭前野は「記憶する」「考える」「物事を判断する」「アイデアを出す」「応用する」「感情をコントロールする」といった重要な機能を担っており、この部位が衰えると「物忘れが増える」「考えることができなくなる」「感情の抑制がきかなくなる」といった症状が出始め、日常生活に支障をきたすようになります。

この前頭前野の機能を維持するには、「指を動かしながら考える」「目で物の動きを追いながら考える」といった作業が有効であり、スマホアプリやタブレットでのゲームは適した手段のひとつと考えられています。

アクションゲームは認知機能が上がる!?

画面に映った敵を捉え、反射的かつ的確に対応する必要のある「アクションゲーム」は、認知症の予防効果があることが様々な研究で明らかになっています。

普段テレビゲームを滅多にしない人達を集め、アクションゲームをやるグループと、それ以外のソーシャルゲーム(プレーヤー間で交流するゲーム)などをやるグループに二分し、その後の認知機能を測定したスイスの研究によれば「アクションゲームをしたグループは、それ以外のゲームをしたグループよりも認知力が常に向上していた」ことがわかりました。

また、アクションゲームによる認知機能の向上は、脳の画像検査からも明らかになっています。アクションゲームをよくやる人はしない人と比べ、「注意力の維持」を司る背外側前頭前皮質や、「異なる標的の間で焦点を切り替える」頭頂皮質、「自分自身の行動を監視する」帯状皮質などの脳領域が活性化していたそうです。

処理速度を鍛えるゲームは認知症の予防効果が!

アメリカの研究にて認知症予防に対する効果が実証されたのは、アクションゲームなどの「処理速度を鍛えるゲーム」です。具体的には、以下のような要素の入ったゲームが該当します。

画面の中心に現れる物体がどういうものか識別する
視野に入る複数の物体の中から、あらかじめ決められたターゲットだけを見つけ出す


このような「視覚的な注意力」と「的確な反応」の速度と精度が向上するように設計されたゲームが、認知症予防に有効と考えられています。処理速度を鍛えるゲームを何度も繰り返すうちに見分けにくいターゲットを早く識別できるようになり、慣れてくると日常生活で以下のような改善が見られ始めるそうです。


注意力の向上
感情のコントロール
抑うつ症状の改善
自動車の運転技能の安定
QOL(生活の質)の向上
今後必要な医療費の減少

おわりに:老後の趣味+認知症予防のツールとして「ゲーム」が役立つ!

ゲームに関しては「攻撃性を助長する」「ゲーム依存症になる」という懸念が度々ニュースなどで取り上げられますが、時間を守って集中してゲームに取り組めば、むしろ認知機能の向上につながることが期待できます。
もちろん、ゲームをやりすぎてしまうことは問題なので注意していただきたいですが、ゲームはスマホでも簡単にダウンロードできますので、老後の新たな趣味として、認知症を予防するためのツールとして、楽しく取り組めそうなゲームにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
生20-1299,商品開発G

関連記事

  • 脳出血治療の予後について

    脳出血治療の予後について

    脳出血は、予後が厳しい疾患のひとつと言われています。この記事では、脳出血治療の予後について解説します。

  • 脳梗塞による麻痺(まひ)のリハビリテーション

    脳梗塞による麻痺(まひ)のリハビリテーション

    脳梗塞で麻痺を起こすと、寝たきりになることでうつ症状・認知症等を発症する可能性があります。この記事では、脳梗塞による麻痺(まひ)のリハビリテーション(リハビリ)について解説します。

  • 転移性肝がんについて

    転移性肝がんについて

    肝がん【肝臓に発生するがん】には、原発性肝がん【肝臓の細胞が悪性腫瘍(がん)化して生じるがん】と転移性肝がん【他部位・他臓器で発生したがん細胞が肝臓に転移し発生するがん】があり、転移性肝がんは原発性肝がんよりも発症数が多いと言われています。この記事では、転移性肝がんについて解説します。