糖尿病性神経障がいについて

糖尿病性神経障がいについて

糖尿病には、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障がい等の合併症があります。この記事では、糖尿病性神経障がいについて解説します。

糖尿病性神経障がいの症状

末梢神経(まっしょうしんけい:中枢神経(脳・脊髄)から分かれ、全身に分布する神経)には、感覚神経(触覚・痛覚・温度覚・体の位置等を伝える神経。知覚神経とも言う)・運動神経(中枢神経からの司令を筋肉に伝える神経)・自律神経(交感神経・副交感神経で構成され、呼吸・心拍・血圧・消化・代謝等を調節する神経)・脳神経(脳から直接出る12対の末梢神経。視覚・嗅覚・聴覚・眼球運動・顔面や口内の感覚と運動等に関わる)があります。

糖尿病性神経障がいは、高血糖が続くことで細胞活動に異常が生じ末梢神経の神経細胞内にソルビトール(糖アルコール)が蓄積したり、高血糖の影響で細い血管の血流が悪化し神経細胞に酸素・栄養が十分に供給されなくなったりすることが主な原因と考えられています。糖尿病性神経障がいの主な症状は、以下の通りです。

・手足の痺れ
・痛み・感覚が鈍くなる
・指先・足先が冷たく感じる。あるいは、熱く感じる
・虫が這っているように感じる
・睡眠中に足がつる 等

なお、上記以外に、排尿困難・便秘・下痢・起立性低血圧(急に立ち上がったり起き上がったりした際、立ちくらみ等が起こる状態)・眼球運動の異常等の症状が現れる可能性があります。

糖尿病性神経障がいの治療

糖尿病性神経障がいによる感覚障がい(手足の痺れ・感覚の鈍さ等)を放置すると、足の怪我等に気付かず処置が遅れて潰瘍化する恐れがあり、悪化して壊疽(えそ:皮膚・皮下組織等が壊死し、黒く変色した状態)を起こすと、その後の生活に大きく関わる事態に発展する可能性があります。血糖値を正常範囲内に近付け血流が改善されると、神経細胞に酸素・栄養が供給されるようになり、神経細胞内のソルビトールが除去されやすくなると言われています。糖尿病性神経障がいを発症した際は、医療機関の指導に従い適切な血糖値管理を心がけることが大切です。また、並行してソルビトールの蓄積を抑制する薬・神経細胞の損傷を抑制する薬・血流を改善する薬等が処方される場合があるため、医療機関の指導に従い服用してください。


糖尿病性神経障がいの治療中に痛みが悪化する場合がありますが、この現象は治療後神経障がいにより起こっている可能性があります。治療後神経障がいが起こる仕組みははっきり分かっていませんが、神経機能が回復することで、これまで感じなかった痛みを感じるようになることが原因と考えられています。この現象は治療過程で生じる反応のため、治療中に痛みが起こった際は自己判断で治療を中止せず、必ず医療機関に相談してください。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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