認知症で起こる見当識障がいの特徴と対処法

認知症で起こる見当識障がいの特徴と対処法

認知症の症状のひとつに「見当識障がい」があります。この記事では、見当識障がいによる症状の特徴と、見当識障がいの方との接し方について解説します。

見当識障がいとは

見当識障がいとは、現在地や時間、人間関係など、自分が置かれている状況を理解する能力が欠けた状態になることです。認知症による中核症状(脳細胞の損傷や萎縮、脳機能の低下などが直接引き起こす症状)のひとつであり、以下の種類に分かれます。

●時間の見当識障がい
現在の季節や年月日、朝、昼、夜のどの時間帯にあたるのかなど、時間を理解する能力が影響を受け、自分が置かれている状況がわからなくなる状態です。時間がわからなくなることに伴い、「朝食や夕食を食べたかどうか」がわからなくなる場合もあります。

●場所の見当識障がい
建物や風景の区別がつかなくなる、道順や方角がわからなくなるなど、自分が今どのような場所にいるかがわからなくなる状態です。外出の目的は覚えていても、目的地や自宅までの道のりがわからなくなることもあり、寝室やトイレの場所がわからなくなることもあります。

●人の見当識障がい
自分が誰でどのような立場にあるのか、自分が家族や友人とどのような関係にあるのかわからなくなる状態です。顔を認識できても関係性を思い出せなくなることもあり、子どもと孫を間違えることもあります。

見当識障がいが現れたときの接し方

見当識障がいの方と接するときは、認知症の症状であることを理解したうえで、以下を参考にやさしく話かけながら間違いを軌道修正することをおすすめします。

●時間の見当識障がい
外の景色を一緒に見に行ったり、見やすい時計を用意したり、カレンダーに印をつけて予定を書いたりするなどして、時間を可視化しましょう。一緒にカレンダーや時計を見ながら「今日は〇月×日▽曜日ですね」「今は12時で、お昼ご飯の時間ですね」と、声に出して確認してあげると、時間を認識してもらいやすくなります。

●場所の見当識障がい
迷子を避けるために外出を制限すると、ストレスから症状が悪化する可能性があります。外出したそうな様子に気づいたときは、迷子にならないように付き添いながら、一緒に散歩しましょう。また、自宅の扉などにイラストや文字などの表示をつけてあげると、場所を認識しやすくなります。

●人の見当識障がい
現在の時間や季節、場所に加えて、自分の名前や年齢、家族との関係や物の名称などをたびたび質問し、本人に答えてもらいましょう。こうすることで、現実の認識を深めやすくなります。

見当識障がいを目の当たりにすると、戸惑いや不安、怒りを覚えてしまうかもしれませんが、あくまでも認知症の症状であり、本人に悪気はありません。怒ったり責めたりすることなく、寄り添いながら軌道修正してあげましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

生21-4464,商品開発G

関連記事