くも膜下出血の手術療法について

くも膜下出血の手術療法について

くも膜下出血は脳動脈瘤の破裂等が主な原因であり、出血の程度にもよりますが、発症すると命に危険が及ぶ可能性があります。この記事では、くも膜下出血の手術療法について解説します。

くも膜下出血とは

くも膜下出血は脳卒中(脳梗塞・くも膜下出血・脳出血等)のひとつであり、くも膜下腔(脳周辺に存在する空間)に出血が起こる疾患です。くも膜下腔は脳脊髄液に満たされており、脳に栄養を送るための血管が走行しています。くも膜下出血を発症すると、血液がくも膜下腔に流入し、髄膜が刺激される・頭蓋内圧(頭蓋骨内部の圧力)が急上昇する等の変化が起こります。発症すると、バットやハンマー等で殴られたような激しい頭痛が突然起こり、頭痛と共に吐き気・嘔吐・意識障がい等の症状が現れる可能性があり、項部硬直(仰向けになった方の頭部を持ち上げた際、首の筋肉が緊張し抵抗を感じる状態)が起こる可能性もあります。くも膜下出血は外傷性と非外傷性(突発性)に分類され、外傷性の場合は外傷による脳挫傷が主な原因であり、非外傷性の場合は脳動脈瘤の破裂が主な原因であると言われています。

くも膜下出血の手術療法について

くも膜下出血の治療では、一般的に、開頭クリッピング術・コイル塞栓術等の手術療法が必要になります。開頭クリッピング術とは、頭蓋骨の一部を取り外し、動脈瘤にクリップをかけ出血を止める治療法です。動脈瘤の位置等の影響でクリップを掛けることが難しい場合は、ラッピング術(特殊な包帯を使用し、脳動脈瘤の壁を補強する治療法)を行います。コイル塞栓術は、太腿の付け根にある動脈からマイクロカテーテルを挿入し、動脈瘤にプラチナ製コイルを充填する治療法です。

破裂した動脈瘤は放置すると再破裂する可能性があり、再破裂した際は死亡率が高くなると言われています。再破裂の予防には手術療法が必要と言われていますが、昏睡状態である・全身が極めて悪い状態である等の場合は、手術ができない可能性があります。また、手術後に脳血管攣縮(のうけっかんれんしゅく:脳の血管が糸のように細くなる疾患。血流不足に陥ることで脳梗塞のリスクが高まる)や正常圧水頭症(くも膜下腔の血腫が周囲の組織と癒着し、脳脊髄液が循環障がいを起こし脳内に溜まる疾患)等の合併症を発症する可能性があります。


今までに経験したことがないような激しい頭痛はくも膜下出血が原因の可能性があり、命に危険が及ぶ可能性もあります。このような頭痛が起こった際は、すぐに救急車を呼びましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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