認知症は“特別なこと“と思わない社会へ 和光病院が掲げる想いとは【前編】

認知症は“特別なこと“と思わない社会へ 和光病院が掲げる想いとは【前編】

今回ご紹介するのは、埼玉県和光市にある285床の病床を有する認知症専門病院「和光病院※1」の院長、今井幸充さんです。
1980年から認知症の研究に取り組み、認知症の人のためのデイケアを日本で最初に開設した際に関わった他、介護負担に関する研究も行ってきた今井さん。前編では病院での取り組みについて、後編では今井さんの想いや認知症との向き合い方について、お話を伺いました。

認知症に特化した医療体制

和光病院では、認知症の一般診療と認知症看護外来(介護相談)を行っているとのことですが、具体的にどのような取り組みを行っているのでしょうか。
「外来受診では、医療福祉相談室での問診を踏まえ、精神科医が患者さんとご家族へ経過やお困りごとについてお尋ねします。その際、必要に応じてMRIや血液検査も当院で行っていただき、今後の医療方針をお伝えします。一人ひとりに合った治療や提案ができる体制を整えています。」
このように、認知症に関する検査・治療・相談を全て一貫して行えるのが和光病院です
「看護外来(介護相談)では、患者さんとご家族が安心して生活を継続するための支援を行っています。『認知症そのものについて・症状への対応の仕方・介護全般について』等、経験豊富な看護師がご家族と一緒に考え、アドバイスや情報共有をします。介護サービスの活用を提案することもあります。」
一人で悩んで欲しくない、一緒に考えればきっと楽になる、そんな想いで取り組んでいると、今井さんは言います。
他にも、看護師から待合室のご家族へ声をかけ、不安や分からないことを聞き、相談に乗るということも積極的に行っているそうです。

「ケア」も治療の重要な一つ

介護にも力を入れている和光病院のモットーに「ケアも治療」とありますが、なぜケアに着目したのでしょうか。
「病院での治療も重要ですが、日常の大部分を占めるのは生活です。日々のケアも『治療の一環』とし、薬物のみならずケアも重要な治療の一環と考えています。もちろん、全てご家族や周囲に任せるというのではなく、状況によってはプロの介護士の手を借りながらケアを行うことも重要です。患者さんにとってもご家族にとってもより良いケアの環境を整えることに重きを置いています。」
入院を余儀なくされた患者さんには、安定した生活を取り戻すべく、生活能力の改善に努める他、在宅生活を可能にする環境調整の支援を行うこともあるようです。
▲和光病院の外観

▲和光病院の外観

”環境づくり”で、認知症と向き合う

認知症の人やそのご家族と日々向き合っている和光病院ですが、他にも志木市初期集中支援チームとして、地域と連携し、独居生活を送る高齢者への訪問等も行っているそうです。
患者さんやご家族だけでなく、認知症を取り巻く環境そのものを良くすることも、和光病院の役割だと今井さんは言います。
「環境の質は、医療・地域・ご家族や周囲の人々、全ての連携が取れてこそ高まります。わたしたちは医療の立場で役割を果たしながら、地域やご家族とも連携し、より認知症の人やご家族が過ごしやすい社会を目指していきます。」
後編では、40年以上認知症の研究を行っている今井さんへ、ご自身の想いや認知症との向き合い方についてお話を伺いました。
※1:和光病院 公式ホームページ
https://wako-hos.jp/
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今井幸充さん

今井幸充さん

文=北浦勝大

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