網膜静脈閉塞症について

網膜静脈閉塞症について

網膜静脈閉塞症(もうまくじょうみゃくへいさしょう)とは、何らかの原因で網膜の静脈が詰まり、血液が流れなくなることで発症する疾患です。視野欠損・視力低下等の症状が現れ、失明する恐れもあります。この記事では、網膜静脈閉塞症について解説します。

網膜静脈閉塞症の症状と治療

網膜には光・色を感知する視細胞があり、光の情報を電気信号に変換する重要な役割があります。この網膜全体に分布する血管が網膜静脈です。網膜静脈閉塞症は、高血圧等で眼底出血が起こっている方が発症しやすいと言われています。網膜静脈の根元が閉塞した場合は網膜中心静脈閉塞症となり、網膜全体に出血が起こります。静脈の枝分かれした部位が閉塞した場合は網膜静脈分枝閉塞症となり、網膜の限られた部位に出血が起こります。

網膜中心静脈閉塞症では、眼底全体に出血・浮腫が現れ、急激な視力低下が起こります。突然視力低下が起こることが特徴であり、発症時期が比較的はっきりしている傾向にあります。網膜静脈分枝閉塞症では、閉塞が黄斑(おうはん)【網膜の中で最も感度の高い部位】に及んでいなければ視力低下は起こらないとされていますが、出血部位に視野欠損が起こる可能性があり、部分的に見えなくなることで発症に気づく方もいらっしゃいます。なお、末端部位が閉塞し、出血が狭い範囲に限られている場合には、発症に気づかない場合があります。

網膜静脈閉塞症の合併症について

網膜静脈閉塞症では、以下の合併症が起こる可能性があります。

●硝子体出血
硝子体とは、網膜の内側にある、無色透明の組織です。眼球内部の大部分は硝子体が占めています。網膜静脈が閉塞し末梢側の毛細血管が消失すると、血管が存在しない無血管野となり、新生血管【本来存在しない異常な血管】が発生します。新生血管は硝子体にも伸びていきますが、新生血管はもろく破れやすいため出血しやすく、新生血管からの出血が硝子体内に広がると硝子体が血で濁り、見えにくくなります。

●新生血管緑内障
緑内障は眼圧が高くなり視神経が圧迫されることで発症し、視野が狭くなり失明する危険性もある疾患です。新生血管緑内障は新生血管が眼球前方に伸び眼圧が上昇することで発症しますが、通常の緑内障より治療が難しく、失明の危険性が高いと言われています。

●網膜剥離
硝子体へと伸びた新生血管は、網膜と硝子体の癒着を引き起こします。この状態で硝子体が収縮すると、癒着した網膜が硝子体に引っ張られた状態になります。無血管野(むけっかんや)【血管の存在しない部分】になった部位の網膜は通常の網膜よりもろく、硝子体に引っ張られることで穴があき、穴から網膜の裏側に水分が流れ込むことで網膜剥離が発生します。


網膜静脈閉塞症の合併症は、レーザー治療・網膜循環改善薬等により新生血管の発生を防ぐことで予防できると考えられています。網膜静脈閉塞症を発症した方は定期的に検査を受け、新生血管の状態を確認することが大切です。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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