40歳にして若年性認知症と診断された渡邊雅徳さん。若年性認知症とは65歳未満で発症した認知症疾患の総称で、日本では約3.78万人が発症していると言われています。(※1)
まだまだ働き盛りでの認知症発症ですが、渡邊さんは「助かった」と思ったそうです。なぜそう感じたのか、そしてどうやって今の充実した生活を過ごせるようになったのかをインタビューで詳しくお聞かせいただきました。
まだまだ働き盛りでの認知症発症ですが、渡邊さんは「助かった」と思ったそうです。なぜそう感じたのか、そしてどうやって今の充実した生活を過ごせるようになったのかをインタビューで詳しくお聞かせいただきました。
40歳で若年性認知症と診断されたが、むしろ「助かった」と思った
ある朝、自分が何の仕事をしているのか、職場がどこにあるのかが分からなくなったという渡邊さん。それ以前にもたまに職場で物忘れを指摘されることがありましたが、ストレスかな?と軽く捉えていたそうです。
「職場の上司に相談し病院に行くと、若年性認知症だと診断されました。普通は崖から突き落とされたような絶望感に陥ったりすると思うのですが、僕は『助かった』と思いました。」
「診断されるまでに、仕事で何度チェックしてもミスに気づかなかったり、社内の人に話しかけようと立ち上がったのに、その人が誰なのかが分からなくなったりしていました。不動産関連の仕事をしていたので、ミスがあると損害も大きい。仕事に行くのが怖くなっていたんです。」
「診断されるまでに、仕事で何度チェックしてもミスに気づかなかったり、社内の人に話しかけようと立ち上がったのに、その人が誰なのかが分からなくなったりしていました。不動産関連の仕事をしていたので、ミスがあると損害も大きい。仕事に行くのが怖くなっていたんです。」
若年性認知症支援コーディネーターとの出会い
その後職場の方に相談したところ、たまたま職場の近くに「認知症の人と家族の会 埼玉県支部」があることを知った渡邊さん。埼玉県支部にはちょうど数カ月前、若年性認知症支援コーディネーターの方が配属されたばかりでした。
若年性認知症支援コーディネーターとは、若年性認知症の方やご家族の生活全般の相談・支援を行う専門職のことを指します。
「さっそく相談したところ、実家に報告してくれたり、職場まで一緒に来て話をしてくれたりしました。そして、休職して症状が和らぐのを待つことができると知りました。」
休職後、家でスマホゲームばかりして過ごしていたという渡邊さん。
「もう自分は新しいことは覚えられないんだ、と思うとやる気がなくなってしまって。コーディネーターさんが講演会に誘ってくれたりしていたのですが、全て断っていました。」
「でもある日、自身も若年性認知症である丹野智文さんの講演会に誘われたんです。テレビ番組で見たこともあって、当事者の話なら聞きに行こうと思えました。自分と同じ立場の丹野さんとの出会いは、とても励まされました。」
ポジティブに若年性認知症と付き合っていた丹野さん。この出会いに影響を受けた渡邊さんは、徐々に「何かを忘れても講演会のネタになる!」と思えるようになっていったそうです。
若年性認知症支援コーディネーターとは、若年性認知症の方やご家族の生活全般の相談・支援を行う専門職のことを指します。
「さっそく相談したところ、実家に報告してくれたり、職場まで一緒に来て話をしてくれたりしました。そして、休職して症状が和らぐのを待つことができると知りました。」
休職後、家でスマホゲームばかりして過ごしていたという渡邊さん。
「もう自分は新しいことは覚えられないんだ、と思うとやる気がなくなってしまって。コーディネーターさんが講演会に誘ってくれたりしていたのですが、全て断っていました。」
「でもある日、自身も若年性認知症である丹野智文さんの講演会に誘われたんです。テレビ番組で見たこともあって、当事者の話なら聞きに行こうと思えました。自分と同じ立場の丹野さんとの出会いは、とても励まされました。」
ポジティブに若年性認知症と付き合っていた丹野さん。この出会いに影響を受けた渡邊さんは、徐々に「何かを忘れても講演会のネタになる!」と思えるようになっていったそうです。
若年性認知症支援コーディネーターができることとは
認知症の人と家族の会埼玉県支部で若年性認知症支援コーディネーターを務める松本由美子さんは、その活動内容についてこう話します。
「ご本人やご家族の不安な気持ちに寄り添ったり、『家族の会』の集いに皆さんと一緒に参加したり、就職に向けた相談や支援をしたりしています。『家族の会』の集いはみんなが認め合い、笑い合える場所。覚えていなくても、誰にも責められず安心できるし、当事者同士だからこそ分かり合えることもあるんだと思います。」
渡邊さんと松本さんは『家族の会』の他にも、若年性認知症支援コーディネーターが主催している「リンカフェ」に参加しています。「リンカフェ」は、埼玉県とさいたま市が若年性認知症支援コーディネーターに委託している、若年性認知症の「就労等社会参加事業」のひとつ。渡邊さんが「転生」を意味する「リンカネーション」から発想を得て、「リンカフェ」と名付けました。
渡邊さんはたまたま近くにリンカフェや家族の会があったことで、職場への相談もいち早く行うことができました。しかし、松本さんによれば、まだまだ数が少ないのが現状だそうです。
「リンカフェのような場所は徐々に増えてはいますが、電車を乗り継いで来ている方もいらっしゃるのが現実です。若年性認知症が進行すると、電車を乗り継ぐのは非常に難しくなる場合もあります。なるべく皆さんの近所でこういった場所が増えていくと良いなと思います」
後編では、更に背中を押してくれた出会いや、今の生活や取り組みについてお伺いします。
「ご本人やご家族の不安な気持ちに寄り添ったり、『家族の会』の集いに皆さんと一緒に参加したり、就職に向けた相談や支援をしたりしています。『家族の会』の集いはみんなが認め合い、笑い合える場所。覚えていなくても、誰にも責められず安心できるし、当事者同士だからこそ分かり合えることもあるんだと思います。」
渡邊さんと松本さんは『家族の会』の他にも、若年性認知症支援コーディネーターが主催している「リンカフェ」に参加しています。「リンカフェ」は、埼玉県とさいたま市が若年性認知症支援コーディネーターに委託している、若年性認知症の「就労等社会参加事業」のひとつ。渡邊さんが「転生」を意味する「リンカネーション」から発想を得て、「リンカフェ」と名付けました。
渡邊さんはたまたま近くにリンカフェや家族の会があったことで、職場への相談もいち早く行うことができました。しかし、松本さんによれば、まだまだ数が少ないのが現状だそうです。
「リンカフェのような場所は徐々に増えてはいますが、電車を乗り継いで来ている方もいらっしゃるのが現実です。若年性認知症が進行すると、電車を乗り継ぐのは非常に難しくなる場合もあります。なるべく皆さんの近所でこういった場所が増えていくと良いなと思います」
後編では、更に背中を押してくれた出会いや、今の生活や取り組みについてお伺いします。
※1:若年性認知症の実態等に関する調査結果の概要及び厚生労働省の若年性認知症対策について(平成21年3月19日厚生労働省発表)
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0319-2.html
※2:認知症患者本人やその家族を中心とした、認知症に関心のある人々で構成された団体。
ともに励まし合い助け合って、人として実りある人生を送るとともに、認知症になっても安心して暮らせる社会の実現を目指している。
http://www.alzheimer.or.jp/
生20-742,商品開発G
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/03/h0319-2.html
※2:認知症患者本人やその家族を中心とした、認知症に関心のある人々で構成された団体。
ともに励まし合い助け合って、人として実りある人生を送るとともに、認知症になっても安心して暮らせる社会の実現を目指している。
http://www.alzheimer.or.jp/
生20-742,商品開発G