塩分の役割と過剰摂取のリスク

塩分の役割と過剰摂取のリスク

塩分(塩化ナトリウム)は、生命活動に必要な成分ではありますが、過剰に摂取すると健康に悪影響を及ぼします。この記事では、塩分の役割と過剰摂取のリスクについて解説します。

塩分の役割

人間の体液の塩分濃度は、基本的に0.9%に保たれており、このバランスが崩れると体調不良等を引き起こす可能性があります。このような0.9%の濃度の食塩水のことを「生理食塩水」と言います。また、大量発汗・嘔吐・下痢等で急激に塩分が失われると、口の渇き・頭痛・吐き気・脱力感等の脱水症状が現れます。塩分は、塩化物イオン・ナトリウムイオンというイオンの状態(原子が電気を帯びた状態)で体内に存在し、以下の役割を担っています。

●細胞を保つ
塩分は、血液・消化液・リンパ液等に含まれ、細胞が壊れることなく一定のバランスを保てるよう、細胞の内部と外部の圧力を調整しています。また、圧力を適切に調整することで、栄養を体内に取り込むことができます。

●神経伝達
神経細胞は、脳からの指令等の情報を他の細胞に伝達する働きがあります。神経細胞は、細胞同士がイオンを受け渡しすることで情報を伝達していますが、ナトリウムイオンは特に大切なイオンのひとつと言われています。

●消化・吸収
塩分からつくられる塩化物イオンは、消化のために胃で分泌される胃液のもとになります。また、小腸で栄養素を吸収する際にも、ナトリウムイオンが必要です。

塩分の過剰摂取のリスク

塩分の過剰摂取により血液の電解質濃度(塩分濃度)が高くなると、本来であれば尿と共に排泄される「余分な水分」が体内に溜まるようになり、むくみが生じやすくなります。また、塩分の過剰摂取の影響で体内の水分量が多い状態が続くと、血圧が高くなり、動脈硬化等のリスクも高まります。動脈硬化は、心筋梗塞・脳卒中(脳梗塞・くも膜下出血・脳出血等)等、命に危険を及ぼす疾患の原因になります。

塩分の過剰摂取は、腎臓への負担が増加する原因にもなります。塩分を過剰に摂取する状態が長く続くと、腎機能低下・腎不全等のリスクが高まり、尿の生成能力が低下することで、更に水分が溜まりやすくなるといった悪循環に陥る可能性があります。なお、近年では、塩分の過剰摂取が、認知症・骨粗鬆症・胃がん等のリスクにも影響する可能性があることも示唆されています。


塩分の過剰摂取を防ぐためには、調味料等の塩分量を把握する・スパイスや出汁等を活用する・外食や加工食品等を控える・カリウム等を含む食品を摂る等の対策もおすすめです。ただし、医療機関から食事制限の指導をされている方は、より厳密な管理が必要になります。必ず医療機関に許可をもらった上で、対策を取るようにしましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

生23-1558,商品開発G

関連記事

  • 認知症予防につながる娯楽と食生活

    認知症予防につながる娯楽と食生活

    脳機能を刺激して活性化を促し、健康的な生活を過ごすことは、認知症の予防につながると考えられています。この記事では、認知症予防につながる娯楽と食生活ついて解説します。

  • 糖尿病性神経障がいについて

    糖尿病性神経障がいについて

    糖尿病には、糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症・糖尿病性神経障がい等の合併症があります。この記事では、糖尿病性神経障がいについて解説します。

  • 大動脈解離の手術後について

    大動脈解離の手術後について

    大動脈の血管壁は、内膜・中膜・外膜で構成されています。大動脈解離とは、何らかの原因で内膜が裂け、大動脈の血管壁に血液が流れ込む疾患です。大動脈解離は命に危険が及ぶ可能性がある疾患であり、緊急手術が必要になる場合があります。この記事では、大動脈解離の手術後について解説します。