骨粗しょう症が女性に起こりやすい理由と治療内容

骨粗しょう症が女性に起こりやすい理由と治療内容

骨粗しょう症とは、骨代謝のバランスが乱れることで骨がもろくなった状態であり、男性よりも女性に起こりやすいと言われています。この記事では、骨粗しょう症が女性に起こりやすい理由と治療内容について解説します。

骨粗しょう症が女性に起こりやすい理由

骨粗しょう症の原因は、カルシウム・マグネシウム・ビタミン類をバランスよく摂取できていないことが主な原因と言われています。また、骨は一定以上の負荷が掛からないと骨形成におけるカルシウムの利用効率が悪くなるため、運動不足も骨粗しょう症の原因になります。男女問わず、総骨量は20代半ばにピークとなり、その後減少し始め、加齢に伴い骨粗しょう症のリスクが高まっていきます。

骨粗しょう症が高齢の女性に起こりやすいと言われているのは、閉経すると骨芽細胞【骨の生成に関わる細胞】を活性化する働きを持つエストロゲン【女性ホルモンの一種】が激減するためです。なお、卵巣の除去手術を行った女性もエストロゲンが激減するため、骨粗しょう症が起こりやすいと言われています。

骨粗しょう症の治療内容

骨粗しょう症の治療では、薬物療法と生活習慣の見直しを並行して行っていきます。薬物療法では、主に以下の薬が使われます。

●骨吸収抑制剤
・ビスホスホネート製剤:骨吸収【骨を壊す働き】を抑制する。副作用として、顎骨(がっこつ)壊死【あごの骨の組織や細胞が死滅】を起こす可能性がある。
・選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM:サーム):エストロゲンと同じ働きを持ち、骨吸収を抑制する。副作用として血栓症を起こす可能性がある。
・カルシトニン製剤:鎮痛作用により骨粗しょう症にともなう痛み【腰痛・背部痛等】を軽減し、骨吸収を抑制する。副作用として顎骨壊死・顎骨骨髄炎が起こる可能性がある。
・デノスマブ製剤(抗ランクル抗体製剤):骨吸収を促す体内物質の働きを妨げることで骨吸収を抑制する。副作用として顎骨壊死・血中カルシウム濃度の低下が起こる可能性がある

●骨形成促進剤
・副甲状腺ホルモン製剤:骨芽細胞の働きを促し、骨形成を促進する。24か月を超えて使用すると骨吸収が骨形成を上回り、骨量が減少する恐れがある。

●栄養補給のための薬
・カルシウム製剤:カルシウム摂取量を増加させ骨量減少を防ぐ。大きな副作用はないとされ、他の薬と併用されることが多い。
・活性型ビタミンD3製剤:腸内のカルシウム吸収を促進させ、骨量減少を防ぐ。副作用として、高カリウム血症が起こる可能性がある。
・ビタミンK2製剤:骨形成を促進する。ビタミンK2はワルファリン【血液を固まりにくくすることで血栓を防ぐ薬】の作用を妨げるため、併用できない


骨粗しょう症の薬物療法を受けている方は、歯科治療による副作用が起こりやすいと言われています。口腔内の健康を保つため適切な口腔ケアを心がけ、定期的に歯科検診を受けるようにしてください。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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