【仕事と介護の両立支援】 そのときのために聞いておきたいこと

【仕事と介護の両立支援】 そのときのために聞いておきたいこと

将来病気やケガをして、意思をうまく伝えられなくなってしまうことがあります。この記事では、どのような医療を希望するか事前の意思確認について解説します。

そのときのために聞いておきたいこと

もし、病気やケガをして、点滴や酸素吸入で改善の見込みがなく、食事や水分を口から摂取できなくなったら? 縁起でもないと思うかもしれませんが、人間誰しも最期のときを迎えます。本人に判断力がない状態だと、家族が「選択」を求められます。胃ろうや点滴、人工呼吸器を用いるかどうか。
Mさん(50代)も80代の母親が救急搬送されて病院に駆けつけると、医師から人工呼吸器を装着するかどうか問われました。「母なら、『そんなの要らない』と言うと思い断ったんです。ところが、一緒に話を聞いた弟の考えは私とは異なりました。弟は"母に1日も長く生きていて欲しい"と……」。
弟からそう言われ、Mさんの決意は鈍りました。自分の独断で母親の命の灯を消すことは避けたいからです。
結局、Mさんの母親は、弟の強い希望で人口呼吸器を装着。約1か月後に亡くなりました。
「弟はどう思っているか分かりませんが、私は母に対して余計な苦しみを与え、かわいそうなことをしたと思っています」とMさんは振り返ります。
Mさんのところのように、「そのとき」家族の意見がまとまらないことは少なくありません。後悔を残さないためには、元気なうちに本人の希望を聞き書面にしておいてもらうこと。この書面を「事前指示書」と呼びます。インターネットで検索すると、いろいろな団体のフォーマットを見ることができます。
親に進言しにくいなら、まずは自分が自分のために作成してみませんか。そして、「将来のことを考え『事前指示書』を作成したよ。おかあさん(おとうさん)も作成してみない?」なら勧めやすいのではないでしょうか。
親の人生を、本人の気持ちを尊重しつつ全うしてもらうためには、事前の意思確認が不可欠です。
◆事前指示書とは・・・◆
・将来自分自身が意思をうまく伝えられなくなったときに、どのような医療を希望するかをあらかじめ記載した書面(家族やかかりつけ医などと十分話し合って記載する)

■事前指示書に書いておきたいこと
 ○人生の最期に「望む医療・ケア」と「望まない医療・ケア」…人工呼吸器、心肺蘇生術 等
 ○自分に代わって医療やケアに関する選択をする「代弁者」…配偶者、長男、長女 等
提供元:介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子

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