高齢者のてんかんの症状と原因について

高齢者のてんかんの症状と原因について

てんかんは、脳の神経細胞に電気的な興奮が突然起こることにより、様々な症状が現れる疾患です。子どもが発症しやすいと言われていますが、高齢者が発症する可能性もあります。この記事では、高齢者のてんかんの症状と原因について解説します。

高齢者のてんかんの症状について

高齢者のてんかんは、複雑部分発作が起こりやすい特徴があると言われています。複雑部分発作とは、意識が徐々に遠くなり周囲の状況がわからなくなる等の意識障がい・記憶障がい等が起こるてんかん発作です。単純部分発作(意識が保たれている状態で起こるてんかん発作)と異なり、痙攣(けいれん)等の運動障がいは起こらず、意識障がいが起こった際に倒れることはあまりなく、意識減損発作(急に動作を止め顔をぼーっとさせる等)・自動症(ふらふらと歩き回る・手を叩く・口をもぐもぐさせる等、無意味な動作を繰り返す)等が現れる可能性があります。

ただし、二次性全般化発作(単純部分発作・複雑部分発作による興奮が脳全体に広がることで起こるてんかん発作)により全身の痙攣を起こす可能性があり、この場合、全身の硬直・手足の激しい痙攣等を起こしやすい傾向にあります。一般的に、数秒から数十秒で発作は治まると言われていますが、1分以上続く可能性もあります。

なお、高齢者では、脳の側頭葉にてんかんの発生源がある「側頭葉てんかん」が起こりやすいと言われています。側頭葉てんかんでは、上記の意識減損発作・自動症が特徴的な症状として現れ、以下の症状が現れる可能性もあります。

・自律神経性症状:吐き気・嘔吐・熱感・冷感・腹痛等のお腹の症状(前兆として現れる)・発汗・立毛・心悸亢進(しんきこうしん:前胸部に鼓動を強く感じる等の不快感)・胸部圧迫感・頭重感 等
・精神症状:恐怖感・既視感(きしかん:未体験のことを過去に体験したように感じる状態。デジャヴとも言う)・未視感(みしかん:いつも体験していることを未体験のように感じる状態。ジャメヴとも言う)・フラッシュバック(過去の記憶が次々と頭に浮かぶ状態) 等
・認知障がい:記憶障がい・言語障がい 等

高齢者のてんかんの原因について

高齢者のてんかんの主な原因は脳卒中(脳梗塞・くも膜下出血・脳出血等)と言われており、アルツハイマー型認知症等の神経変性疾患(脳内の様々な部位で神経細胞が変性し、働きを失ってしまう疾患)・頭部外傷・脳腫瘍・脳炎・脳症・動脈硬化等が原因になる場合もあります。また、原因が分からないてんかん(特発性てんかん)を引き起こす可能性もあります。


てんかんは、子どもの頃に発症したことがない高齢者でも発症する可能性があり、抗てんかん薬等の治療が必要になる可能性もあります。気になる症状に気付いた際は、早めに医療機関を受診しましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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