心筋梗塞の合併症について

心筋梗塞の合併症について

心筋梗塞とは、心臓を動かす筋肉(心筋)が壊死する疾患です。この記事では、心筋梗塞の合併症について解説します。

心筋梗塞の急性期に見られる合併症

心筋梗塞で心筋の一部が突然壊死することにより、以下の合併症を引き起こす可能性があります。

●不整脈
不整脈とは、脈をゆっくり打つ・速く打つ・不規則に打つ(脈が飛ぶ)等が起こる状態です。心臓が正常に動作できなくなり、一定の拍動を続けて行えない・適切に心臓が収縮できなくなる等が起こり、症状が現れます。心臓自体の動きが止まる等、状態が深刻である場合は電気ショックを与える等の処置をした後、集中治療室(ICU)・循環器疾患集中治療室(CCU)等で厳重に管理し、治療を行う可能性があります。

●うっ血性心不全
心筋の一部が壊死・損傷することにより、心臓が全身の健康を保てない程の機能不全に陥ります。深刻な状態にならない発症直後のうちに、心臓への血液供給を再開する・心臓への負担を減らす等の治療を行うことが大切とされており、心臓の機能低下により肺への血液流入が見られる際は、血液量を減らす薬剤の投与等の治療が行われる可能性もあります。

心筋梗塞後の心破裂について

心筋梗塞後の心破裂は「機械的合併症」と呼ばれることがあり、心筋梗塞の影響で心筋が脆くなり、そこに高い血圧がかかり続けることで発症します。心筋梗塞後の心破裂は、破裂する部位により、主に以下に分類することができます。

●左心室自由壁破裂(さしんしつじゆうへきはれつ)
心臓には、左心室・右心室・左心房・右心房の4つの部屋があります。心臓の左側下部に位置し、血液を送り出す働きがある左心室の自由壁(右心室に接しない左心室の外壁)が破裂し、心臓を包む心膜との間に血液が溜まるようになる合併症です。発症した際の致死率は高く、「治療後の予後も良いとは言えない」と言われています。

●心室中隔穿孔(しんしつちゅうかくせんこう)
右心室と左心室を隔てる心臓の壁「心室中隔」が破裂する合併症です。本来、血液は左心室から大動脈に送られますが、心室中隔に穴が開くことで左心室から右心室に血液が流れ込み、肺に血液が溜まるようになります。重大な心不全・心破裂状態を引き起こしやすいと言われています。

●乳頭筋断裂(にゅうとうきんだんれつ)
乳頭筋とは、心室内に存在する僧帽弁(そうぼうべん:左心房と左心室の間にある弁)・三尖弁(さんせんべん:右心房と右心室の間にある弁)を支える筋肉群です。僧帽弁を支えて血流をコントロールしている左心室の乳頭筋が心筋梗塞の影響で切れると、心臓内で血液の逆流を引き起こし、命に危険が及ぶ可能性があります。


心筋梗塞は生活習慣病のひとつでもあるため、予防対策も大切になってきます。食生活・運動習慣等の生活習慣を見直し、健康診断・人間ドック等を定期的に受け、健康状態をこまめに確認するようにしてください。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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