糖尿病の方に気を付けていただきたい「低血糖脳症」について

糖尿病の方に気を付けていただきたい「低血糖脳症」について

低血糖とは血糖値が正常の範囲以下まで低下した状態のことです。重度の低血糖により脳内の神経細胞がダメージを受けると、低血糖脳症を発症する可能性があります。この記事では、糖尿病の方に気を付けていただきたい「低血糖脳症」について解説します。

低血糖脳症とは

低血糖脳症とは、主に糖尿病治療中の方に起こる緊急性の内分泌疾患です。不適切な食事・運動習慣等により長時間低血糖状態に陥ることで発症し、適切な量・タイミングでインスリンが投与されなかった際にも起こる可能性があります。

低血糖脳症の主な症状は意識障がいであり、症状の程度や継続時間については、投与されたインスリンの種類や作用・ご本人の状態によって、大きく変わってきます。一般的に、軽症で早期に糖を投与した場合はすぐに意識が回復すると言われていますが、発見・治療が遅れた場合は、数日から数週間単位の長期に渡り意識が戻らなくなる可能性があります。

低血糖脳症の回復の可能性

低血糖脳症を発症すると、脳が働くために必要な糖の供給が著しく遮断された状態になります。発見・治療が遅れると、経過した時間分だけ徐々に脳機能も低下していき、低血糖脳症の発症後に意識が回復しても何らかの後遺症が残る可能性があります。なお、どの程度回復できるかについては、以下に挙げるように個人差があります。

・発症から20日程度で意識を回復し、検査で脳の損傷や後遺症が見られたが、徐々に回復して歩行や食事等、日常生活を問題なく送れる程度にまで脳・身体機能が回復した
・発症から10日程度で意識は回復したものの脳にダメージが見られ、言語理解・発話・食事不能等の後遺症が残った
・発症から20日程度で意識は回復したが、脳のダメージにより、著しい過食をしてしまう・暴言や暴力行動を自制できなくなる等の後遺症が残った

低血糖脳症を防ぐための注意点

低血糖脳症を防ぐためには、医療機関の指導のもと、血糖値管理を徹底することが大切です。低血糖状態に陥らないようにするため毎日の生活習慣に注意し、手指の震え・冷え・めまい・ふらつき・目のかすみ・顔面蒼白等の「低血糖の前兆」に気付いた際にすぐ対処できるよう備えておきましょう。なお、低血糖が起こった際の対処法については、必ず医療機関に確認するようにしてください。また、低血糖が起こるとご自身で対処できない場合もあるため、対処法についてはご家族・ご友人等にも共有しておくことをおすすめします。


低血糖脳症に限らず、糖尿病の治療では様々な注意点があります。糖尿病治療中の方は、必ず医療機関の指導に従うようにしてください。まだ糖尿病になっていない方は、毎日の生活習慣を見直し、糖尿病の予防に努めましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

生22-6236,商品開発G

関連記事

  • 微小血管(びしょうけっかん)狭心症の特徴と治療

    微小血管(びしょうけっかん)狭心症の特徴と治療

    微小血管(びしょうけっかん)狭心症とは、心臓弁膜症等の疾患が認められず、直径100μm(マイクロメートル)以下の微小な冠動脈(かんどうみゃく)が充分に拡張しなかったり、著しく収縮したりすることで起こる狭心症です。この記事では、微小血管狭心症の特徴と治療について解説します。

  • 糖尿病が引き起こす皮膚トラブルについて

    糖尿病が引き起こす皮膚トラブルについて

    糖尿病の方は皮膚トラブルが起こりやすく、皮膚トラブルが悪化すると壊疽(えそ:皮膚・皮下組織等が壊死し、黒く変色した状態)等に進行し、日常生活に支障を来す可能性があります。この記事では、糖尿病が引き起こす皮膚トラブルについて解説します。

  • 直腸がんの症状と予防対策

    直腸がんの症状と予防対策

    直腸は大腸の一部であり、15cmから20cm程度の長さがあります。上部から直腸S状部・上部直腸・下部直腸に分けられ、上部でS状結腸からつながり下部で肛門へとつながります。この記事では、直腸がんの症状と予防対策について解説します。