高齢者の方の血圧が高くなりやすい原因について

高齢者の方の血圧が高くなりやすい原因について

高齢者の方は若い方より血圧が上がりやすく、高血圧になりやすいと言われています。この記事では、高齢者の方の血圧が高くなりやすい原因について、血圧の仕組みと併せて解説します。

血圧の仕組み

血圧とは、血管(動脈)の内壁にかかる「血液による圧力」のことです。心臓が収縮した際にかかる圧力を収縮期血圧、拡張した際にかかる圧力を拡張期血圧と言います。

血圧の数値には、心拍出量(心臓が送り出す血液の量)・血液の流れにくさ・血管の弾力性等が影響し、通常は、心拍出量が多い・血液が流れにくい・血管の弾力性が低い状態になると血圧が高くなります。例えば、運動直後に心臓が速く鼓動している状態では心拍出量が多くなるため血圧が高くなり、緊張して交感神経が優位になった状態では血管が収縮して血液が流れにくくなるため血圧が高くなります。また、動脈の弾力性が低くなると、心臓が収縮した際に送り出す血液の圧力を逃がすことができなくなるため、収縮期血圧が高くなります。

高齢者の方の血圧が高くなりやすい原因

どのような方でも、高齢になるにつれ血管が老化し、弾力性が低下します。血管(動脈)が硬くなり弾力性が低下した状態を動脈硬化と言いますが、高齢者の方の血圧が高くなりやすいのは、加齢により動脈硬化が進むことが原因のひとつと考えられます。なお、肥満、塩分の過剰摂取、飲酒・喫煙習慣、運動不足、ストレス、自律神経の不調等も高血圧のリスク要因になります。若い頃からリスク要因を抱え続けている方は、高齢になるにつれ高血圧のリスクも上昇します。

また、高齢者は自律神経の働きが乱れやすいため血圧が変動しやすく、一時的に血圧が急上昇・急降下する「血圧の乱高下」も起こりやすいと言われています。血圧の乱高下を繰り返すと脳卒中(脳梗塞・くも膜下出血・脳出血等)や心筋梗塞等、命に関わる疾患のリスクが高くなりますが、高血圧の方は更に高リスクとなります。

●(孤立性)収縮期高血圧について
(孤立性)収縮期高血圧とは、収縮期血圧は高血圧の基準を超えているが拡張期血圧は低い状態である高血圧のことです。(孤立性)収縮期高血圧は、動脈硬化が進んでいる高齢者の方に多く見られます。このような脈圧(収縮期血圧から拡張期血圧を引いた差)が大きい状態の方は、動脈硬化が進んでいる可能性があるため注意が必要です。


動脈硬化が高血圧のリスク要因になる一方で、高血圧も動脈硬化のリスク要因になります。どちらも命に関わる疾患の要因になるため早めの対策がおすすめです。規則正しい生活とバランスの整った食生活を心がけ、適度な運動を習慣化しましょう。毎日同じ時間帯・同じ環境で血圧を測定して血圧を管理し、血圧にいつもと違う様子が見られた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。なお、高血圧の治療を受けている方は、必ず医療機関の指導に従ってください。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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