脂質異常症の特徴と危険性について

脂質異常症の特徴と危険性について

脂質異常症とは、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)やトリグリセライド(中性脂肪)の値が基準より高い状態や、HDLコレステロール(善玉コレステロール)の値が基準より低い状態が続く疾患です。発症には生活習慣の乱れ(過食・運動不足・肥満・喫煙・アルコールの過剰摂取・ストレス等)が関係していると言われています。この記事では、脂質異常症の特徴と脂質異常症の危険性について解説します。

脂質異常症の特徴

脂質異常症には、高LDLコレステロール血症(LDLコレステロール値が基準より高い状態)・低HDLコレステロール血症(HDLコレステロール値が基準より低い状態)・高トリグリセライド血症(トリグリセライド値が基準より高い状態)があり、空腹時の採血結果が以下のいずれかに当てはまると脂質異常症と診断されます。

・高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値が140mg/dL以上
・低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール値が40mg/dL未満
・高トリグリセライド血症:トリグリセライド値が150mg/dL以上

なお、特定健診(40歳から74歳の方に行われるメタボリックシンドロームに着目した健診)では「Non-HDLコレステロール(総コレステロールの数値からHDLコレステロールの数値を引いたもの)」が項目に追加され、170mg/dL以上で高non-HDLコレステロール血症と診断されます。

脂質異常症の発症初期に目立った自覚症状が現れることはほとんどありませんが、長期間続くと脂質が肝臓に蓄積し「脂肪肝」を引き起こす可能性があります。脂肪肝を引き起こすと倦怠感・食欲不振等の症状が現れたり、足の血管が動脈硬化を引き起こすことで血流が悪くなり歩行時に痛みが生じたりすることもありますが、発症初期には症状はほぼ現れないと言われています。

脂質異常症の危険性

過剰に増加したLDLコレステロールは、動脈の内膜(動脈壁の最内側の膜)を覆う内皮細胞を傷付け、酸化LDLに変化します。それを処理するため、単球(白血球の一種)が内膜へと入り込み、マクロファージに変化します。

マクロファージは酸化LDLを取り込んだ後やがて死んでいきますが、含まれるコレステロールが蓄積し、内膜はどんどん厚くなります。このようにして血管にコレステロールが蓄積し、粥腫(じゅくしゅ)という塊を形成する状態を粥状動脈硬化(アテローム動脈硬化)と言います。このような状態になると動脈の弾力性・柔軟性が低下し、血管がもろくなり、破れやすくなります。また、動脈硬化が進行すると、心筋梗塞・脳梗塞のリスクが高まります。


脂質異常症を放置すると、自覚症状もないまま心筋梗塞・脳梗塞等を発症し、突然死する可能性があります。脂質異常症を指摘されたことのある方は必ず医療機関を受診し、適切な治療を続けるようにしましょう。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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