大動脈瘤(りゅう)の種類と検査・治療

大動脈瘤(りゅう)の種類と検査・治療

大動脈瘤(りゅう)とは、動脈硬化・高血圧等の影響で大動脈(腹部から胸部にかけて走行する人体の中で最も太い血管)に瘤(こぶ)状の膨らみができる疾患です。大動脈瘤は種類により、症状・治療方法等が変わってくる場合があります。この記事では、大動脈瘤の種類と検査・治療について解説します。

大動脈瘤の種類

大動脈瘤には、以下の種類があります。

・真性大動脈瘤:大動脈壁の層を構成する内膜・中膜・外膜の三層全てが膨らんだ動脈瘤。比較的強度があり、仮性大動脈瘤・解離性大動脈瘤より破裂のリスクが低いと言われている
・仮性大動脈瘤:大動脈壁の一部に穴が開き、内膜・中膜・外膜が欠けている状態。欠けている部位から漏れ出した血液が大動脈周囲の組織を圧迫して瘤を形成しているため、非常にもろく破裂のリスクが高いと言われている
・解離性大動脈瘤:内膜の一部のみが裂け、内膜と中膜の隙間に血液が入り込むことで形成される。内膜と中膜の隙間は血液が流れ込むことで広がりを増し、強い痛みを引き起こす。広範囲にわたり形成された瘤が破裂すると、突然死を引き起こす可能性がある

また、大動脈瘤は、以下のように瘤の形状・瘤が発生した部位により分類することもできます。

●形状
・紡錘状瘤(ぼうすいじょうりゅう):左右対称に膨らむ大動脈瘤
・嚢状瘤(のうじょうりゅう):左右非対称に膨らむ大動脈瘤

●瘤ができる部位
・上行大動脈瘤:上行大動脈に発生した動脈瘤
・弓部大動脈瘤・遠位弓部大動脈瘤:弓部大動脈に発生した動脈瘤
・下行大動脈瘤:下行大動脈に発生した動脈瘤
・胸腹部大動脈瘤:胸部大動脈から腹部大動脈にわたり発生した動脈瘤

大動脈瘤の検査・治療

大動脈瘤は自覚症状が現れにくい傾向にあり、健康診断・人間ドッグ等のX線検査(レントゲン検査)で、偶然発見される方もいらっしゃいます。X線検査で大動脈瘤の疑いがあると判断された場合は、以下の検査が行われる可能性があります。

・CT検査:X線を使用した画像検査で輪切り画像の撮影が可能。大動脈の状態・瘤の大きさ・発生部位等を立体的に確認できる
・MRI検査:磁気を使用した画像検査。CT検査と同様、輪切り画像の撮影が可能
・超音波検査:皮膚の上から超音波を当て、大動脈瘤の状態を確認する。

上記の検査で大動脈瘤と診断された場合、以下の治療が行われる可能性があります。

・血圧管理:生活指導・内服薬の処方等で血圧を管理し、動脈瘤破裂の予防を目指す
・人工血管置換術:大動脈瘤が発生した部位を人工血管に置き換える手術療法
・ステントグラフト治療:足の付根にある動脈からカテーテルを挿入し、大動脈瘤の内側から特殊な人工血管を設置する手術療法


大動脈瘤の治療内容は、大動脈瘤の状態・進行速度・年齢・慢性疾患の有無等により異なり、それぞれを考慮した上で治療方針が決定されます。
提供元:株式会社SPLENDID、株式会社ライフケアパートナーズ

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